子どもの個性を伸ばす方法30選

教育・知育

子どもの個性を伸ばすためには、日常の行動を観察して強みを発見し、短所に見える特徴を捉え直しながら、自主性を尊重する関わりを積み重ねることが大切です。

本記事では、日常の行動から強みを発見する方法、客観的なツールで得意や関心を可視化する方法、短所に見える特徴を強みに捉え直す方法、才能と自尊感情を育む声かけ、主体性と自己効力感を高める家庭での関わり、個性を潰さずに才能を伸ばす体験と学習アプローチという6つの観点から、子どもの個性を伸ばすための30の方法を紹介します。

6つの観点で個性を伸ばす

まずは記事全体の見取り図として、6つの観点を一覧にまとめます。

観点主な実践の場面
日常の行動からの発見教室や家庭での何気ない行動
客観的なツールでの可視化チェックリストや対話
短所の捉え直し気になる行動への向き合い方
声かけと接し方日々のコミュニケーション
家庭での関わり方ルールや役割の設定
体験と学習アプローチ教材や学びの場の工夫

日常のふとした行動から強みを発見するアプローチ(5選)

子どもの日常の何気ない行動や、困った振る舞いに見えるものの中にこそ、その子の個性が隠れています。家庭ですぐに実践できる観察の視点を紹介します。

問題行動から子どもの自然な学び方を読み解く

授業中や日常で見られる問題行動は、子どもが自分に合った学び方を発信しているサインとして捉えることができます。教室で話し続ける様子や、友達とのおしゃべりが多い様子は、大人の都合で制限すべき行動として片付けられがちですが、その子が使い慣れている力を反映していると見ることもできます。大人のルールに従わせるだけでなく、その子が得意とする力を見極め、それを活かせる発表や対話の役割を意図的に用意する関わりが、主体的な成長につながります。

休み時間の自主的な過ごし方を観察する

強制力のない自由な時間の過ごし方には、子どもが最もよく使う力が表れやすいものです。自発的に読書をする子どもは言葉を扱う力に優れ、工作に没頭する子どもは体を動かして作る力、生き物の世話に夢中になる子どもは自然と関わる力が高い傾向にあります。日常の自由な時間における子どもの選択に目を向け、よく使う力を親が記録しておくことが、その後の個性を伸ばす関わりに役立ちます。

時間を忘れて没頭する熱中性に注目する

子どもが時間の経過を忘れて没頭する姿は、潜在的な才能や課題への高い関心を示す手がかりです。特定の課題に長時間集中して取り組める意欲は、才能を構成する重要な要素の一つとされています。ゲームやアニメに限らず、大好きなことなら何時間でも取り組み続けられる熱中性そのものが、その子の才能を見いだす手がかりになります。子どもが何に対して強い関心を示すかを日頃から注意深く見守ることが大切です。

日常の感情表現から自己認識の傾向を捉える

日々の親とのやり取りや何気ない言葉遣いから、子どもが自分の可能性をどう捉えているかを読み解くことができます。子どもの会話の中にあるできたという言葉や、自分はこういうところがあるという自己評価の傾向を親が意識的に捉えることで、子どもの内面にある自信や落ち込みを見極める手がかりになります。日常の他愛ない会話に耳を傾ける姿勢が、内面を理解する第一歩になります。

写真や録音で得意な瞬間を客観的に保存する

形に残りにくい得意な姿や制作の過程を、写真や音声、動画として記録し、客観的に振り返れるようにします。記憶だけに頼るのではなく、作った工作物を写真に収める、面白い話をした声を録音する、身体を動かす様子を録画するなど、後から見返せる形で記録を蓄積していくことが、子どもの強みを長期的に把握する助けになります。

客観的なツールで得意や関心を可視化するアプローチ(5選)

親の主観や周囲との比較による焦りを防ぐためには、体系的なツールを使って客観的に強みを可視化することが役立ちます。家庭で使いやすい方法を紹介します。

多様な力の傾向を把握するチェックリストを活用する

人が持つ力にはいくつもの種類があるという考え方に基づいたチェックリストを活用することで、子どもの得意な領域を客観的に把握しやすくなります。小学校低学年を対象にこうした考え方を係活動などの学習に取り入れた研究では、子ども自身が得意なことを知る機会になり、自分は役に立っているという実感が高まったことが報告されています。家庭でも似たような視点でチェックリストを作り、子どもと一緒に得意なことを確認してみることができます。

(出典:日本協同教育学会|小学校低学年の係活動における多重知能理論の活用)

将来の夢の対話から子どもの関心を引き出す

将来の夢を単なる空想で終わらせず、具体的に書き出させ、そのためにどう行動すればよいかを対話することで、主体的な取り組みにつながります。一見実現が難しい夢であっても、その夢に向けて今何ができるかを自分で考えさせる対話は、目の前の学習や活動に対する意欲を高めるきっかけになります。夢の内容そのものよりも、そこに向かう過程を一緒に考える姿勢が大切です。

発達段階ごとの自尊感情のテーマと照らし合わせる

子どもの自尊感情は年齢に応じて育むべきテーマが異なります。東京都教職員研修センターが取りまとめた研究では、自尊感情を自己評価と自己受容、関係の中での自己、自己主張と自己決定という三つの観点から捉え、発達段階に応じた指導の留意点を示しています。親はこうした観点を参考にしながら、わが子の年齢に照らして、足りない部分やできている部分を確認し、段階に応じた働きかけを行うことができます。

(出典:東京都教職員研修センター|自尊感情や自己肯定感に関する研究)

専門的なアセスメントツールで認知の特性を把握する

知能テストの数値や一律の基準だけで才能を判断するのではなく、チェックリストや制作物の記録を包括的に活用することが、現代の教育では重視されています。文部科学省の有識者会議による審議のまとめでは、特定分野に特異な才能のある児童生徒について、強みと同時に学習上の困難を抱える場合もあることを踏まえ、周囲との関わりの中で特性を丁寧に把握することの重要性が示されています。

(出典:文部科学省|特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議 審議のまとめ)

複数の評価の基軸で子どもの多様なよさを発見する

成果を測る物差しを速さだけに限定せず、丁寧さなど複数の基軸に広げることで、子どもの独自の価値を見いだしやすくなります。速いか遅いかという基軸に加えて、丁寧かぞんざいかという基軸を取り入れると、何かをするのは遅いが非常に丁寧で忘れ物をしないといった、一見劣っているように見える側面の裏にある長所を発見することができます。複数の視点で物事を見る姿勢が、子どものよさを多角的に捉える助けになります。

一見すると短所に見える特徴を強みに捉え直す方法(5選)

落ち着きのなさやこだわりの強さなど、直すべき短所に見える行動は、捉え直すことでその子の強みになります。短所を長所に言い換える具体的な方法を紹介します。

行動が遅いを丁寧さや真面目さに捉え直す

動作が遅いという特徴は、時間をかけて細かく作業できる丁寧さや真面目さの表れとして捉え直すことができます。早く片付けなさいと急かされがちな子どもは、一つのことを丁寧に行う力や、忘れ物をしないよう確認する慎重さを持っている場合があります。遅いという側面だけに着目するのではなく、丁寧に取り組めていることや最後までやり切る一貫性に親が目を向けることが、子どもの自尊感情を育むうえで役立ちます。

あわてんぼうを素早さや活動の得意さに捉え直す

落ち着きがなく慌てて行動する姿は、素早い判断力や高い活動性の表れとして捉え直すことができます。注意が散漫であわてんぼうに見える子どもは、物事に対する素早い反応力や、体を大きく使って活動的に動く力を持っている場合があります。慌ただしさだけを気にするのではなく、その素早い行動力や体の動かし方のよさを、スポーツや外遊びなど別の活動で発揮させて伸ばすことが大切です。

こだわりが強いを細部の観察力や論理的思考に捉え直す

特定の対象への強いこだわりは、細部への優れた観察眼や、物事を論理的に組み立てる力として捉え直すことができます。特定の遊びに執着したり、特定のルールに固執したりする特性は、欠点として矯正しようとするのではなく、成長の芽として捉える視点が大切です。他の人が気づかない細部の違いを見分ける力や、決まりに沿って緻密に物事を進める力を活かせるパズルやプログラミング、観察活動へと導くアプローチが有効です。

落ち着きがないを能動的な情報収集力に捉え直す

じっと座っていられず動き回る様子は、自ら体を動かして新しい情報を得ようとする力として捉え直すことができます。授業中や家庭内であちこち動き回る子どもは、体を動かし体験しながら学ぼうとする力に優れている可能性があります。座って静かに話を聞かせる指導だけを強いるのではなく、体を使って実際に学び体感できる学習や、動きながら考えることを許容する環境を整えることで、学習への意欲が高まりやすくなります。

言葉が乱暴を感情表現の課題と捉え適切な語彙を教える

乱暴な言葉遣いは、性格の問題ではなく、感情を表現する言葉が足りていないことの表れとして捉え直すことができます。不安や落ち込みから乱暴な言葉が目立つ子どもがいますが、これは自分の複雑な感情を表現するための語彙が不足していることが背景にある場合が少なくありません。言葉の乱暴さを叱るのではなく、まずは子どもの気持ちを受け止め、悲しかったんだね、こうしてほしかったんだねと適切な表現を根気よく教えることで、情緒が安定し言葉遣いも変化していきます。

才能と自尊感情を豊かに育む親の声かけと接し方(5選)

子どもの自尊感情や自己効力感は、日常の親との関わり、特に温かい声かけによって育っていきます。個性を潰さないための具体的なコミュニケーション方法を紹介します。

結果ではなく目標に挑戦する過程を具体的に褒める

テストの点数や勝敗という結果だけでなく、自ら決めた目標に挑戦した努力や過程を認めて褒めることが、個性を伸ばす関わりにおいて大切です。子どもが挑戦する中で工夫したことや、諦めずに努力したことに目を向け、前回よりも工夫できたねと具体的に認める声かけをすることで、子どもは失敗を恐れずに新しい課題へ向かう力を育てやすくなります。

うまく表現できない子どもの感情を優しく代弁する

子どもが言葉で説明できない気持ちを、親がだったんだねと代弁して受け止めることで、安心感が育ちます。幼児期や小学校低学年の子どもは、自分の感情を整理して他者に伝える力がまだ十分に発達していません。うまく伝えられなくて悔しいね、これがやりたかったんだねと気持ちをそっと代弁し、思いを寄せる接し方を意識することで、感情の自己コントロールや自尊感情の土台が育ちます。

子どもの独自の考えや個性をそのまま否定せず認める

大人の価値観で子どもの独自のアイデアを否定せず、まずはそのままの姿を受け入れることが大切です。子どもが大人の考えとは異なる表現や、少し変わったアイデアを出したとき、それは違う、普通はこうすると否定してしまうと、子どもの主体的で創造的な芽が育ちにくくなります。面白い考え方だね、そんな工夫を思いついたんだねと、独自の視点をそのまま受け入れる態度で接することが重要です。

大人が愛情と信頼を持って子どもに向き合う

親や指導する立場の大人が子どもに深い愛情を持ち、子どもも大人を信頼するような関係の中で、子どもは大きく成長しやすくなります。心理学の分野では、子どもに指導者への信頼があり、指導者に子どもへの深い愛情がある関係の中で、強い影響が生まれ、人が大きく成長することが指摘されています。テクニックや方法論に終始するのではなく、子どもとの間に温かい信頼関係を築くことこそが、個性を育む基礎になります。

できた場面をしっかり褒めて意欲を促す

子どもができたと感じた瞬間を逃さずに褒めることで、次への意欲が高まりやすくなります。子ども自身が何かを成し遂げたり挑戦したりしてできたと感じた瞬間に、できたね、すごいねと十分に認めて褒めることで、子どもは達成の喜びを感じます。この喜びの積み重ねが、もっとやってみたいという自発的なやる気につながっていきます。

主体性と自己効力感を高める家庭での具体的な関わり方(5選)

子どもが自分にはできるという確信を持つためには、家庭での実践的な関わりや役割の設定が効果的です。押し付けにならず自主性を高めるコツを紹介します。

活動のルールや目標を子ども自身に自己決定させる

親が一方的に決めるのではなく、活動の目標やルールを子ども自身の意思で決めさせることが、自己調整力を育みます。文部科学省が示す個別最適な学びの考え方では、児童生徒が自ら学習を調整しながら進めていくことが重視されています。家庭での勉強やお手伝い、日常の決まりごとについても、子ども自身の興味や関心に応じて目標や進め方を選ばせる機会を設けることで、主体的に取り組む姿勢が育ちやすくなります。

(出典:文部科学省|2.育成を目指す資質・能力と個別最適な学び・協働的な学び)

家庭内や小さなグループ内で肯定的に認められる場を作る

子どもが自分の作品や努力を発表し、家族がそれを肯定的に受け止める場を意識的に設けることが効果的です。週末に家族の前で描いた絵や作った作品、読んだ本の感想を披露する時間を作り、家族が拍手を送り感想を伝えることで、子どもは自分の作ったものや考えが認められたという充実感を得やすくなります。

お手伝いや役割を通じて周りの役に立っていると実感させる

家庭内で明確な役割を持たせることで、自分の行動が家族の役に立っているという実感を育てます。お皿洗いの担当や植物の水やりなど、簡単でも継続的な役割を子どもに任せ、実際に最後まで行わせます。役割を果たしてくれたときに、水やりをしてくれたから花が嬉しそうだね、助かったよと感謝を伝えることで、子どもは自分の存在価値を実感しやすくなります。

一見実現困難に見える大きな夢を学びの動機にする

子どもが語る実現の難しい大きな夢を、現在の学びへの意欲を高めるきっかけとして活用します。モータースポーツの選手になりたい、宇宙飛行士になりたいといった夢を大人が無理だよと切り捨てるのではなく、その夢のために今何ができるかを一緒に考えることで、目の前の学習や活動に取り組む力が高まります。夢の実現に向けた具体的な一歩を一緒に調べる関わりが、学びを支える動機になります。

失敗を恐れずより高い目標に挑戦する意欲自体を評価する

失敗を過度に恐れずに目標に向かって挑戦する姿勢そのものを評価することが、粘り強さを育てます。子どもが難しいことに挑戦して失敗したとき、結果だけに目を向けるのではなく、間違いを恐れずに挑戦した目標設定や、粘り強く取り組んだ姿勢そのものを認めます。この関わりを重ねることで、子どもは失敗を前向きに切り替える力を身につけ、さらに高い目標へ挑戦しやすくなります。

(出典:文部科学省|令和の日本型学校教育の構築を目指して 答申)

個性を潰さずに才能を伸ばす体験と学習アプローチ(5選)

親の価値観や期待を押し付けず、子どもの認知の特性に合った学習環境や体験の機会を柔軟に与えることが大切です。具体的な体験と学習の工夫を紹介します。

子どもの好きな興味対象をそのまま学習教材に用いる

特定の分野に偏った興味を、国語や算数などの苦手な学習の教材として活用することが効果的です。興味のない一般的な課題を強いても学習を避ける傾向がある子どもに対して、好きな対象を教材として用いる支援が役立ちます。国語の読み書きが苦手な子には好きな話の絵本を一緒に読む、興味のある観察記録を文章にまとめるなど、興味を足がかりに基礎学力の向上へと自然に結びつけていく工夫ができます。

身体を実際に動かして学ぶ体験型学習を取り入れる

言葉での説明よりも、身体活動や五感を通した体験型学習を取り入れることで、理解力を伸ばしやすくなる子どもがいます。実際に体や手を使って体験しながら学ぶ方が、机の上で言葉だけの抽象的な説明を聞くよりも内容を理解しやすいタイプの子どもがいます。実験や工作、自然体験、フィールドワークなど、身体と五感を通した体験型学習に取り組ませることが、隠れた強みを引き出すきっかけになります。

パズルなど子どもの認知的個性に合う教材を工夫する

子どもの得意な認知の領域を活用して、苦手な暗記や課題を補う教材の工夫が役立ちます。文章を読むのが苦手でも、図形やパズルなどの空間をとらえる力に優れているタイプの子どもの場合、地図やパズルの形を使って遊びながら暗記できるよう教材を工夫することができます。得意な機能を活用することで、苦手な部分を補いながら得意な力を伸ばしていくことができます。

視覚的な地図化を用いて頭の中の考えや気持ちを整理する

頭の中の考えを言葉として整理するのが苦手な子には、中心となるテーマから関連する言葉をつなげていく視覚的な整理の方法が役立ちます。考えの整理が難しい子どもには、テーマから思いつく言葉や気持ちを線でつなげて書き広げていく方法が効果的です。頭の中の考えを目で確認しながら組み立てる作業を親が手助けすることで、慣れれば一人で感想や要点を整理して書けるようになります。

学校外の多様な教育プログラムや学びの場を体験させる

学級での過ごしにくさを感じている場合、学校外のプログラムを活用して同じ興味を持つ仲間や新たな学びに出会わせることが役立ちます。学校の授業だけではすでに理解していることの繰り返しで物足りなさを感じたり、同級生と話が合わなかったりする場合があります。大学の研究機関や博物館、各種のイベントなど、学校外で同じ興味や関心を持つ人と出会う経験は、子どもの自己肯定感を高め、才能を伸ばすことにつながります。

まとめ

子どもの個性を無理なく伸ばしていくためには、日々の何気ない行動から自然な学び方の特徴を見落とさずに見取り、短所を長所に言い換える多角的な見方が大切です。

日常で取り組みやすい実践を以下にまとめます。

  • 休み時間や自由時間の過ごし方を観察し、よく使う力を記録する
  • できたことよりも挑戦した過程を具体的に褒める
  • 家庭内で役割を持たせ、役に立っている実感を伝える
  • 好きな対象を苦手な学習の教材として活用する

子ども自身の自己決定や過程を尊重し、できた喜びをタイミングよく褒めることが、確かな自尊感情と自己効力感を育てます。周囲との比較による焦りを手放し、目の前の子どもの個性をありのまま受け止めることから、親子で一歩ずつ実践していくことが大切です。