絵本の読み聞かせがめんどくさいときの対処法を紹介

教育・知育

絵本の読み聞かせをめんどくさいと感じても、工夫次第で無理なく続けられ、親子ともに心地よい時間に変えられます。肩の力を抜いた読み聞かせでも、子どもの育ちはしっかりと育まれていきます。

本記事では、読み聞かせを億劫に感じる背景、読み聞かせが保護者自身にもたらす良い影響、子どもの育ちを支える効果、無理なく続ける工夫、地域の支援サービスの活用について紹介します。

絵本の読み聞かせを億劫に感じる保護者の現状

仕事や家事に追われ、読み聞かせに負担を感じる保護者は少なくありません。現状と心理的な背景を整理します。

  • 仕事や家事の多忙による時間の不足
  • 読み聞かせの継続に対する心理的な負担感
  • 読み聞かせを休むことへの気がかり
  • 絵本を用意する手続きの煩雑さ
  • 育児の協力体制が偏ることによる負担

仕事や家事の多忙による時間の不足

多くの保護者が仕事や家事に追われ、読み聞かせの時間が不足していると感じています。幼児の保護者へのアンケートでは、読み聞かせを行えていない理由として、約半数が「時間がない」と回答しています。

出典:柏崎市子ども読書活動推進計画|柏崎市(PDF)

自分以外にも多くの共働き世帯が同じ時間の不足に直面していると分かれば、心理的な孤立感が和らぎます。

参考:墨田区子ども読書活動推進計画(第4次)|墨田区

読み聞かせの継続に対する心理的な負担感

読み聞かせを毎日続けなければという意識は、保護者にとって負担に感じられる場合があります。柏崎市の調査でも「面倒」という声が一部で見られ、根気のいる習慣として受け止められている実態がうかがえます。

出典:柏崎市子ども読書活動推進計画|柏崎市(PDF)

面倒・大変と感じることは珍しくなく、自然な感情だと捉えられます。

参考:読み聞かせで親も生きやすくなる? 脳科学から見た絵本|東北大学加齢医学研究所 松﨑泰先生

読み聞かせを休むことへの気がかり

読み聞かせを休むことに罪悪感を抱く必要はありませんが、育ちへの影響を気がかりに感じる声があります。同調査で「必要だと思わない」と回答した保護者は0パーセントであり、必要性を自覚しているからこそ自己嫌悪を感じやすい傾向がうかがえます。

出典:柏崎市子ども読書活動推進計画|柏崎市(PDF)

気がかりを覚えること自体が、子どもを大切に思う気持ちの表れだと気づけます。

絵本を用意する手続きの煩雑さ

絵本を用意するまでの手間が、忙しい保護者の行動を妨げる要因になっています。墨田区の調査では、図書館を利用しない理由に「手続きが面倒」という回答が見られ、用意する難しさがうかがえます。

読み聞かせが進まない背景には環境的な要因もあると分かれば、やる気だけの問題ではないと理解できます。

参考:墨田区子ども読書活動推進計画(第4次)|墨田区

育児の協力体制が偏ることによる負担

育児の役割が一方に偏ることで、読み聞かせなどの活動がさらに負担になりやすくなります。父親の育児ストレスを調べた調査では、家族のサポートが少ない父親ほどストレスが高くなることが示されています。

一人で抱え込まず、周囲との協力関係を築くことが負担の軽減につながります。

参考:幼児をもつ父親の育児ストレスと関連要因|岩永裕人ほか

読み聞かせが保護者にもたらす良い影響

子どものために行う読み聞かせですが、読み手である保護者自身にも良い影響を与える可能性が示されています。

  • 育児ストレスを和らげる可能性
  • 子どもの落ち着きによる負担の軽減
  • 親子の対話による関係性の安定
  • 保護者自身の情緒的な安心感
  • 電子機器への依存を抑える効果

育児ストレスを和らげる可能性

絵本の読み聞かせ時間を設けることは、保護者自身の育児ストレスを和らげることにつながる可能性があります。未就学児を持つ親が約2か月間記録した調査では、読み聞かせ時間の長さと育児ストレスの低下に関連が見出されています。

読み聞かせを義務ではなく、自分自身を穏やかにするケアの時間として捉え直せます。

参考:読み聞かせで親も生きやすくなる? 脳科学から見た絵本|東北大学加齢医学研究所 松﨑泰先生

子どもの落ち着きによる負担の軽減

読み聞かせが子どもの落ち着きを促すことで、育児の手間や負担感が和らぎやすくなります。千葉市の調査では、育児負担感が養育態度を通じて子どもの落ち着きに影響すると報告されています。

絵本の時間が育児のゆとりを増やす手段になり得ると分かれば、取り組む気持ちが明るくなります。

参考:家庭環境が1-2歳児の社会-情動的能力に及ぼす影響の検討|千葉市

親子の対話による関係性の安定

読み聞かせは一方的な話ではなく、親子の対話を生み出し、信頼感を育む場になります。肯定的な関わりを深め、双方への良好な心理的影響が確認されています。

対話を通じて、親子で情緒を落ち着かせる時間を持てます。

参考:Shared reading is associated with fewer emotional/behavioral problems and better prosocial behavior in preschool children|Frontiers

参考:読み聞かせで親も生きやすくなる? 脳科学から見た絵本|東北大学加齢医学研究所 松﨑泰先生

保護者自身の情緒的な安心感

絵本の時間を親子で楽しむことは、保護者自身の心理的な安らぎや気分転換につながりやすくなります。子育て支援プログラムを調べた研究では、絵本を伴う活動で母親の気分が肯定的に改善したと報告されています。

絵本を開く時間は、子どものためだけでなく自分自身の心を整える時間にもなり得ます。

参考:母親の心理的変容過程に基づく公民館での子育て支援プログラムの実践開発|家庭教育研究

電子機器への依存を抑える効果

スマートフォンなどに頼る時間を読み聞かせに置き換えることで、良好な親子関係を育みやすくなります。電子メディアへの接触は発達に影響しやすいのに対し、親子の対話は発達を穏やかに支えると考えられています。

つい動画に頼ってしまう際の気がかりが和らぎ、短い読み聞かせの意義を実感しやすくなります。

参考:読み聞かせで親も生きやすくなる? 脳科学から見た絵本|東北大学加齢医学研究所 松﨑泰先生

絵本の時間が育む子どもの育ち

読み聞かせは、子どもの気持ちの調整や情緒の安定など、内面の育ちに関わっています。下の表は、育ちに関わる4つの側面を整理したものです。

育ちの側面関連する内容
感情の調整気持ちの表現や落ち着きを学ぶ機会になる
思いやりの心他者への優しさや協力の態度が育まれやすい
言葉の力言葉の発達が気持ちの伝え方の安定に関わる
親子の関わり方穏やかな関わりを保つ助けになりやすい
  • 気持ちの調整を学ぶ機会の確保
  • 思いやりの心を育む効果
  • 言葉の発達を通じた気持ちの安定
  • 穏やかな関わりを支える効果
  • 発達の特性に応じた支援効果

気持ちの調整を学ぶ機会の確保

家庭での対話的な読み聞かせは、気持ちの表現や落ち着きを学ぶ穏やかな環境になります。読み聞かせが充実した家庭環境は情緒面を落ち着かせると報告されています。

読み聞かせが、子どもの気持ちを穏やかに保つ役割を果たしているとうかがえます。

参考:Shared reading is associated with fewer emotional/behavioral problems and better prosocial behavior in preschool children|Frontiers

思いやりの心を育む効果

物語に触れることで、他者への思いやりや協力といった前向きな態度が育まれやすくなります。読み聞かせの度合いが高いほど、周囲に優しく接しやすいことが確かめられています。

絵本が子どもの優しい心を自然に育むきっかけになっていると考えられます。

参考:Shared reading is associated with fewer emotional/behavioral problems and better prosocial behavior in preschool children|Frontiers

言葉の発達を通じた気持ちの安定

言葉の発達によって気持ちを相手に伝えられるようになると、高ぶりが落ち着きやすくなります。1〜2歳児の調査では、絵本を含む言葉かけが言語の発達と関連を示し、言語の育ちが情緒面の落ち着きとも関連しています。

言葉の伝え方が安定することで、気持ちの高ぶりを和らげる助けになると分かります。

出典:家庭環境が1-2歳児の社会-情動的能力に及ぼす影響の検討|千葉市

穏やかな関わりを支える効果

絵本の習慣は親子間のやり取りを良好に保ち、行き過ぎた叱責を控える助けになる可能性があります。幼少期の読み聞かせは、厳しい態度をとる場面を減らし、関係を温かく保つ助けになります。

感情的になりそうな場面でも、絵本を介して関係性を和らげる手段にできます。

参考:Shared reading is associated with fewer emotional/behavioral problems and better prosocial behavior in preschool children|Frontiers

発達の特性に応じた支援効果

特定の特性や傾向を持つ子どもにも、読み聞かせは言葉の習得や安心感に良い影響を与えやすくなります。対話的な読み聞かせで、言葉や聞き取りの力に良好な変化があると確認されています。

育児に難しさを感じている保護者にとって、絵本が育ちを支える手立てになります。

参考:Shared reading is associated with fewer emotional/behavioral problems and better prosocial behavior in preschool children|Frontiers

無理なく続けるための工夫

読み聞かせを億劫に感じるときは、完璧を目指さない工夫や目標の立て方が続けやすさにつながります。

  • 達成しやすい目標の設定
  • 完璧さを求めない気持ちの調整
  • できたことを振り返る記録
  • 対話を交えた関わり方への切り替え
  • 目線を合わせる関わり方

達成しやすい目標の設定

あらかじめ時間や冊数を控えめに設定しておくことで、忙しい夜でも心理的なハードルを下げられます。子育て支援講座の実践例では、「1日1冊」「5分だけ」といった小さな目標を自ら設定する工夫が見られます。

長く読み続けなければという思い込みを手放し、短時間でも意味があると受け止められます。

参考:母親の心理的変容過程に基づく公民館での子育て支援プログラムの実践開発|家庭教育研究

完璧さを求めない気持ちの調整

体調や仕事の状況に応じて、できない日を受け入れる姿勢が続けやすさにつながります。目標に届かなかった際にも自分なりに調整して受け止めることが、育児への自信を守るために大切だとされています。

できなかった日に気持ちを責める必要はなく、柔軟に休むことも続けるための一つの工夫です。

参考:母親の心理的変容過程に基づく公民館での子育て支援プログラムの実践開発|家庭教育研究

できたことを振り返る記録

できなかったことよりも、少しでもできた日に目を向けて記録することで、前向きな気持ちが生まれます。小さな達成を振り返る取り組みは、完璧さへのこだわりを和らげるきっかけになります。

できたことを積み重ねる視点で、少しずつ育児への自信を取り戻せます。

参考:母親の心理的変容過程に基づく公民館での子育て支援プログラムの実践開発|家庭教育研究

対話を交えた関わり方への切り替え

すべての文章を読もうとせず、子どもの反応に合わせて絵を指差しながら言葉を交わす方が有意義な場合があります。幼児の指差しには、気持ちを伝え共有する働きがあると報告されています。

文字を追うことにこだわらず、子どもの指差しに応える関わりだけでも十分な読み聞かせになります。

参考:幼児期における言葉の発達――絵本の読み聞かせに関する一考察――|佐藤環ほか

目線を合わせる関わり方

文字を読むのを最小限にし、寄り添って同じ絵を見つめ合うだけでも情緒的な安心感を得られます。親子の共同注視は、言葉の育ちの土台となる温かい関わり合いの場として位置づけられています。

声を張るのが疲れる夜でも、ただ静かに絵を隣で見るだけで十分な関わりが伝わります。

参考:絵本場面における母子共同注視と子どもの言語発達|チャイルド・リサーチ・ネット 小椋たみ子

地域の子育て支援サービスの活用

すべてを家庭で抱え込む必要はありません。地域の支援サービスを活用し、無理のない環境を整えましょう。

  • 公民館での子育て支援プログラムへの参加
  • 保育所等の絵本貸出サービスの利用
  • 身近な場所での絵本コーナーの活用
  • 悩みを話せる場の活用
  • 読み聞かせボランティア活動の活用

公民館での子育て支援プログラムへの参加

地域の公民館などで開かれる親子向けの講座は、読み聞かせを気軽に始めるきっかけになります。公民館の子育て支援プログラムでは、手遊びや絵本を共有する活動を通じて育児への自信が高まったことが確認されています。

一人で悩むのではなく、地域の資源を活用して専門的な助言を受ける機会にできます。

参考:母親の心理的変容過程に基づく公民館での子育て支援プログラムの実践開発|家庭教育研究

保育所等の絵本貸出サービスの利用

保育所や幼稚園で行われている絵本の定期貸出制度を利用することで、手軽に多様な絵本と出会えます。家庭で絵本の用意が難しい場合でも、貸出制度やリサイクル活動の活用が提言されており、負担軽減の助けになります。

本を購入したり図書館へ通ったりする手間を省き、良質な絵本を手軽に取り入れられます。

参考:家庭環境が1-2歳児の社会-情動的能力に及ぼす影響の検討|千葉市

身近な場所での絵本コーナーの活用

保育所の送り迎えの動線にある絵本コーナーなどを、隙間時間での読み聞かせの入り口にできます。玄関や廊下など通り道に自由に手に取れるコーナーの設置が、環境づくりの一つとして挙げられています。

わざわざ予定を作らずとも、日常生活のついでに絵本に触れられる選択肢になります。

参考:家庭環境が1-2歳児の社会-情動的能力に及ぼす影響の検討|千葉市

参考:墨田区子ども読書活動推進計画(第4次)|墨田区

悩みを話せる場の活用

育児の弱音を語り合える場を持つことは、気持ちの安定に役立ちます。周囲のサポートが少ないと感じる保護者ほど負担感が高まりやすいと示されており、家庭外に相談できる場を持つ意義がうかがえます。

「読み聞かせが面倒」と本音を語ることは悪いことではなく、対話がストレスの軽減や自信につながります。

参考:幼児をもつ父親の育児ストレスと関連要因|岩永裕人ほか

参考:母親の心理的変容過程に基づく公民館での子育て支援プログラムの実践開発|家庭教育研究

読み聞かせボランティア活動の活用

保護者がすべて読まなくても、地域や園での読み聞かせボランティア活動が学びを補ってくれます。地域の高齢者などが行う活動は、聞き方や話し方の育ちに良好な成果をもたらしています。

すべて完璧に読まなければという責任感を手放し、地域の力を頼ることができます。

参考:絵本読み聞かせ世代間交流プログラム「りぷりんと」|東京都健康長寿医療センター

まとめ

仕事や家事に追われる中で読み聞かせをめんどくさいと感じることは、自然な保護者の姿であり、自己嫌悪を抱く必要はありません。1日5分だけ、1日1冊だけでも寄り添って絵を眺める時間を持ちながら、地域の支援も上手に頼り、無理のない距離感で絵本の時間を取り入れましょう。