知育玩具を使った見立て遊びやごっこ遊びは、子どもが頭の中でイメージを膨らませ、相手の気持ちを想像する力を育てます。年齢に合った遊び方を選ぶことで、想像力は家庭の中でも伸びやすくなります。
本記事では、知育玩具で想像力が高まる理由、年齢に応じた発達段階、おもちゃを選ぶ際のポイント、家庭での実践方法について紹介します。
知育玩具で想像力が高まる理由・メカニズム
この章では、知育玩具がどのような仕組みで想像力を育てるのかをまとめます。次の四つのH3で具体的に説明します。
- ごっこ遊び・見立て遊びが想像力を育てる仕組み
- 友達や家族とイメージを共有する経験の効果
- 自由度の高いおもちゃが想像力を刺激する理由
- 大人の見守り方が想像力の広がりに影響する理由
ごっこ遊び・見立て遊びが想像力を育てる仕組み
ごっこ遊びは、子どもが日常生活で見聞きしたことを再現しながら試す場になります。国立国語研究所の研究では、幼児と保護者によるごっこ遊びについて「日常生活の中で子どもが行っている観察学習の成果を試し、修正、定着させる学びの場」として機能していると分析されています。お店屋さんごっこで店員の言い回しをまねる遊びも、日常の観察を頭の中で再構成する想像の作業といえます。実際には経験していない場面を頭の中で組み立てて演じること自体が、想像力を使う練習になっています。
参考:幼児と保護者によるごっこ遊びの相互行為|国立国語研究所
友達や家族とイメージを共有する経験の効果
一人で思い描くイメージを相手に伝え、相手のイメージと重ね合わせる経験は、想像力を更に広げます。中央教育審議会の資料では、幼児期の学びの特性として「遊びを通して思考を巡らせて創造力を発揮し、友達とイメージを共有・協力して様々なことを学んでいる」と述べられています。互いに設定を確認し合いながら遊びを進める過程で、相手にも自分にも分かるように説明する力が育ちます。自分だけのイメージを相手に伝わる形に置き換える経験は、想像したことを言葉にする練習にもなります。
参考:幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会 資料|文部科学省
自由度の高いおもちゃが想像力を刺激する理由
用途が一つに決まっていないおもちゃは、遊ぶたびに違う見立てを生み出す余地を持っています。名古屋芸術大学の研究紀要では、フレーベルが考案した積み木状の教具「恩物」について「イメージを表現したり、認識を深めたりすることができ」ると述べられており、形をあえて単純にした教具が想像を引き出す役割を持つとされています。積み木や布、木製のブロックなど、決まった正解のない素材は、子どもの見立てを何度も更新させます。同じ玩具でも、今日は乗り物、明日は動物というように役割を変えられる点が、想像力を繰り返し働かせる機会につながります。
参考:乳幼児にとってのおもちゃの役割についての研究|名古屋芸術大学研究紀要
大人の見守り方が想像力の広がりに影響する理由
子どもが自分の頭の中で場面を組み立てている最中に大人が正解を示してしまうと、想像を巡らせる時間そのものが短くなります。文部科学省の資料では、幼児期の遊びについて「仮定のあるいは事実とは違うことを考える能力、別の世界の可能性を考える能力と深くかかわっている」と説明されており、現実と異なる状況を思い描くこと自体が学びとして位置づけられています。大人が結論を急がず、子どもの発想を待つ関わり方が、想像を広げる時間を保つことにつながります。玩具の正しい使い方を教えることよりも、子どもなりの使い方を尊重する姿勢が、想像力を伸ばす関わり方の軸になります。
参考:幼児教育の基本となる乳幼児の発達と遊びと学びの特徴|文部科学省
想像力の発達段階と年齢に応じた遊びの特徴
この章では、年齢によって想像力や遊び方がどのように変化するのかをまとめます。次の五つのH3で具体的に説明します。
- 0〜1歳ごろの想像力の芽生え前段階
- 1歳半〜2歳ごろの見立て遊びの始まり
- 3〜4歳ごろのごっこ遊びの広がり
- 5〜6歳ごろの物語性のある遊び
- 小学校低学年ごろの想像力の変化
全体の目安は、下記の表のとおりです。
| 年齢の目安 | 想像力・遊びの特徴 |
|---|---|
| 0〜1歳ごろ | 身体の感覚を通して外の世界を確かめる時期 |
| 1歳半〜2歳ごろ | 見立て・つもり遊びが芽生え始める時期 |
| 3〜4歳ごろ | 友達とイメージを共有したごっこ遊びが広がる時期 |
| 5〜6歳ごろ | 筋のある物語を思い描いて遊ぶ時期 |
| 小学校低学年ごろ | 経験と想像を結び付けて言葉で表す時期 |
0〜1歳ごろの想像力の芽生え前段階
この時期の子どもは、目や耳、手など身体の感覚を通して周囲の世界を確かめている段階です。文部科学省の資料では、0歳から1歳ごろの発達について「主に直感的身体的な基盤が働く」と説明されており、頭の中だけでイメージを操作するよりも、実際に触れたり動かしたりする経験が中心になる時期とされています。ガラガラを振ったり布をつかんだりする遊びの積み重ねが、後の見立て遊びを支える土台です。この時期は、玩具の音や手触りなど感覚を通した情報を多く集めること自体が、その後のイメージづくりの材料になります。
参考:幼児教育の基本となる乳幼児の発達と遊びと学びの特徴|文部科学省
1歳半〜2歳ごろの見立て遊びの始まり
この時期になると、目の前にないものを別のもので表す「見立て」の芽生えが現れ始めます。名古屋芸術大学の研究紀要では「一歳半頃から、子どもたちは見立て・つもりなど想像的・象徴的な思考が芽生えはじめる」と述べられており、二歳ごろの見立て遊びについては「一方的なやりとり」にとどまることが多いと記載されています。積み木を電話に見立てて耳に当てるなど、一人で完結する遊びが目立つ時期です。この段階では、大人がまねしてほしい遊び方を教えるよりも、子どもが思いついた見立てをそのまま受け止める関わり方が向いています。
参考:乳幼児にとってのおもちゃの役割についての研究|名古屋芸術大学研究紀要
3〜4歳ごろのごっこ遊びの広がり
三歳を過ぎるころから、遊びの中で友達とイメージを共有する場面が増えていきます。同じ研究紀要では、三歳ごろの象徴遊びについて「友達とイメージを共有」しながら「言葉のやりとりも盛んになり」応答性を持つようになると述べられています。お母さん役やお店屋さん役など、役割を決めて遊ぶごっこ遊びが広がるのもこの時期です。役を交代しながら遊ぶ経験を重ねることで、自分とは異なる立場から物事を見る練習にもなります。
参考:乳幼児にとってのおもちゃの役割についての研究|名古屋芸術大学研究紀要
5〜6歳ごろの物語性のある遊び
五歳から六歳ごろになると、始まりから終わりまで筋の通った物語を思い描きながら遊べます。友達と相談しながら場面を作り替え、登場人物の気持ちを言葉にして表現する姿も増えます。相手の立場を想像する力が育ってくる時期でもあるため、複数人でのごっこ遊びが自然に成立します。人形やフィギュアを使い、けんかや仲直りといった感情の動きを含む物語を演じる遊びも見られるようになります。
小学校低学年ごろの想像力の変化
小学校に入ると、想像力は遊びの中だけでなく、読むことや書くことの学習とも結び付いていきます。小学校学習指導要領解説国語編では、低学年の書くこと領域について「経験したことや想像したことなどから書くことを見付け」と記載されており、経験と想像を結び付けて言葉にする力が求められています。物語を読んで続きを想像したり、日記に想像を交えて書いたりする活動が増える時期です。遊びの中で培った見立てる力は、文章の中で状況を思い描きながら読み進める力にも生きてきます。
参考:小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編|文部科学省
想像力を高めやすい知育玩具を選ぶ際のポイント
この章では、想像力を育てやすい知育玩具をどのような視点で選べばよいかをまとめます。次の四つのH3で具体的に説明します。
- 自由度・多用途性で選ぶ
- 素材や形がシンプルなものを選ぶ
- 子どもの発達段階に合わせて選ぶ
- 親子で一緒に遊べるものを選ぶ
自由度・多用途性で選ぶ
一つの遊び方に限定されないおもちゃは、子どもが自分なりの見立てを重ねやすくなります。積み木や布、木製の車輪など、組み合わせ方や使い方を子ども自身が決められる玩具は、飽きにくく、年齢が上がっても遊び方を変えながら長く使えます。パッケージに描かれた一つの遊び方だけにとらわれず、実際にどれだけ多様な使い方ができるかを確かめて選ぶことが大切です。店頭で手に取れる場合は、複数の組み合わせ方を試してから選ぶと、家庭での遊びの広がりをイメージしやすくなります。
素材や形がシンプルなものを選ぶ
音や光の仕掛けが多く、遊び方があらかじめ決まっているおもちゃは、子どもが自分でイメージを補う余地が少なくなりがちです。無地の積み木や単純な形のブロックは、見立てる対象を子ども自身が決めるため、想像を働かせる場面が多く生まれます。装飾や機能が少ない玩具ほど、遊ぶたびに違う物語や役割を重ねやすくなります。色や柄が控えめな玩具を選ぶと、子どもが自分の頭の中で色や場面を補いながら遊ぶ経験も増えます。
参考:乳幼児にとってのおもちゃの役割についての研究|名古屋芸術大学研究紀要
子どもの発達段階に合わせて選ぶ
前の章で紹介した発達段階の目安に沿って玩具を選ぶと、子どもが無理なく想像を広げられます。一歳半から二歳ごろは一人で見立てて遊べる身近な物、三歳以降は友達と役割を分けやすいごっこ遊び用の玩具、五歳以降は物語を組み立てやすい人形や乗り物のセットなど、段階に応じて広げていく形が向いています。年齢表示だけでなく、実際の子どもの遊び方を見ながら選ぶ視点も大切です。今の遊び方より少し複雑な設定を含む玩具を選ぶと、想像を広げる練習になりやすいとも考えられます。
親子で一緒に遊べるものを選ぶ
大人も一緒に役になって遊べる玩具は、子どもが一人では思いつかない展開を体験するきっかけになります。国立国語研究所の分析でも、保護者はごっこ遊びの中で子どもの発想を「汲み取りつつ交渉を行う」ことで遊びを展開させているとされており、親子で使える玩具を選ぶこと自体が想像を広げる働きかけにつながります。台所セットや人形など、大人も無理なく役割を持てる玩具を選ぶと、家庭でも取り入れやすくなります。仕事から帰った後の限られた時間でも、五分程度から一緒に役になって遊ぶ習慣を作ると無理なく続きます。
知育玩具で想像力を高める効果的な実践方法
この章では、家庭で知育玩具を使うときに想像力を伸ばしやすくする関わり方を整理します。次の四つのH3で具体的に説明します。
- 遊びを途中で口出ししすぎない
- 問いかけで想像を広げる
- ごっこ遊びに親も参加する
- 絵本と組み合わせて物語をイメージする
遊びを途中で口出ししすぎない
子どもが自分の頭の中で場面を組み立てている間は、大人が横から手順を示さずに見守る時間を確保することが想像力を育てます。中央教育審議会の資料では、遊びについて「意欲に満ちた自発的で能動的に周りの物事や人に関わっていく活動」と説明されており、子ども自身が発想を出す過程そのものが学びとして位置づけられています。うまくいかない場面でも、すぐに答えを教えるのではなく、子どもが試行錯誤する時間を残す関わり方が向いています。声をかけるタイミングは、子どもが困った表情を見せたときや、自分から話しかけてきたときを目安にすると自然です。
参考:幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会 資料|文部科学省
問いかけで想像を広げる
「次はどうなると思う」「この人形は今どんな気持ちだと思う」といった問いかけは、子どもが自分で場面を思い描くきっかけになります。幼稚園教育要領でも、表現の領域について「生活の中でイメージを豊かにし、様々な表現を楽しむ」ことが位置づけられており、日常の中で問いかけを重ねることが想像を広げる働きかけの一つになります。答えを急がせず、子どもの言葉を待つ姿勢が問いかけの効果を高めます。子どもの答えを否定せず受け止めることで、次の問いかけにも自分の考えを話しやすくなります。
参考:幼稚園教育要領|文部科学省
ごっこ遊びに親も参加する
親が役の一人として参加すると、子どもは一人では思いつかない台詞や展開に触れられます。国立国語研究所の分析では、子どもが「いらっしゃいませ」のような定型表現や典型的な振る舞いを使って場面設定を共有しようとする様子が確認されており、こうした表現や行為が「役割交渉の足場」として使われると述べられています。親が子どもの言葉を受け止めながら役を演じることで、遊びの場面はより豊かなものになります。
参考:幼児と保護者によるごっこ遊びの相互行為|国立国語研究所
絵本と組み合わせて物語をイメージする
絵本を読んだあとに、続きの物語を一緒に考えたり、登場人物になりきって遊んだりすると、読んだ内容が想像の材料として広がります。幼稚園教育要領では、表現の領域で「絵本や物語などで、その内容と自分の経験とを結び付けたり、想像を巡らせたりするなど、楽しみを十分に味わう」ことが挙げられています。読み聞かせのあとに知育玩具で登場人物ごっこをする組み合わせは、家庭で取り入れやすい実践方法です。同じ絵本でも、読むたびに違う場面を選んで再現すると、子どもの想像はそのつど新しい形に広がっていきます。
参考:幼稚園教育要領|文部科学省
まとめ
知育玩具を使った見立て遊びやごっこ遊びは、子どもが頭の中でイメージを描き、相手の気持ちを想像する力を年齢に応じて育てます。今日の遊びの時間に、発達段階に合った知育玩具を一つ選び、口出しを控えながら親子で場面を思い描く時間を作ってみましょう。
