習い事に取り組むうえで効果を得るには、長く続けられることが大切です。
本記事では、習い事が続きやすい子ども・続かない子どもの特徴や、家庭でできる環境作りのポイントを紹介します。
「続く子の特徴」が気になる保護者の背景
多くの保護者が習い事の継続について関心を持つのには理由があります。ここでは、その背景にある心理を整理します。
- 途中でやめてしまうことへの不安
- 費用や時間をかける前に知りたいという思い
- 周囲の子どもとの違いへの関心
途中でやめてしまうことへの不安
子どもが習い事を始めても、数か月で行き渋るケースは珍しくありません。ベネッセ総合教育研究所のデータでは、習い事の実施率は小学6年生から中学1年生への進級時に5割以下まで下がり、中学3年生から高校1年生への進級時にはさらに約2割程度まで下がることが示されています。この数字を目にすると、自分の子どもも同じ道をたどるのではと心配になる保護者は少なくないでしょう。特に初めての習い事では、続けられるかどうかが見えないまま申し込みを決めることになります。だからこそ「続く子にはどんな傾向があるのか」を事前に把握しておきたいという声が多く聞かれます。
出典:データで考える子どもの世界│第7回 習い事・学習塾について考える その1 習い事の実態|ベネッセ総合教育研究所
費用や時間をかける前に知りたいという思い
習い事には月謝だけでなく、道具や送迎の負担も伴います。短期間でやめることになれば、それまでにかけた時間や費用が報われなかったと感じる保護者もいるでしょう。特に兄弟姉妹がいる家庭では、一人あたりにかけられる時間や予算が限られるため、選択の段階で慎重になる傾向が見られます。こうした事情から「どんな子が続けやすいのか」を先に知り、習い事選びの参考にしたいという発想につながっています。
周囲の子どもとの違いへの関心
同じ教室に通う子どもの中には、長く在籍している子もいれば早々に卒業していく子もいます。その違いを目にすると「うちの子はどちらのタイプだろう」と考える保護者も出てきます。ただし、続く・続かないは単純な性格の良し悪しで決まるものではなく、興味の方向性や環境との相性など複数の要因が絡み合っているものです。次章以降では、そうした傾向を整理していきます。
習い事が続きやすい子どもに見られる特徴
続きやすい子どもにはいくつかの共通した傾向が見られます。ここではその代表的な三つの側面をまとめます。
- 好奇心の向く方向がはっきりしている傾向
- 小さな達成感を積み重ねやすい傾向
- 自分のペースで取り組める傾向
好奇心の向く方向がはっきりしている
自分が何に興味を持っているかを自覚している子どもは、活動の中に楽しさを見出しやすい傾向があります。自分の関心と習い事の内容が重なったとき、練習そのものを楽しめる状態が生まれやすくなります。
小さな達成感を積み重ねやすい
級や合格などの目標がこまめに設定されている環境では、達成感を積み重ねやすいという特徴があります。小さな目標を一つずつクリアする経験が、次の目標への意欲を引き出すきっかけになります。結果として、練習を重ねること自体に前向きな感覚を持てる子どもは、長期的に取り組みやすい状態にあると言えるでしょう。
自分のペースで取り組める
同じ内容でも、自分のペースで進められる環境かどうかで取り組み方は変わってきます。周囲と比べられる場面が多い環境では負担を感じやすくなる一方、自分の成長度合いに合わせて課題が調整される環境では、無理なく続けられる場合があります。以下は、ペース配分の違いによる取り組み方の傾向を簡単に整理したものです。
| ペースの特徴 | 子どもの取り組み方の傾向 |
|---|---|
| 個々の進度に合わせて課題が変わる | 焦らず自分の課題に集中しやすい |
| 一律の進度で全員が同じ課題をこなす | 周囲との比較で負担を感じることがある |
| 本人の希望で難易度を選べる | 挑戦と休息のバランスを取りやすい |
自分のペースを尊重される経験を重ねることで、習い事への向き合い方が安定していくケースが見られます。
続けやすさに影響する環境要因
子ども本人の傾向だけでなく、周囲の環境も継続に大きく関わっています。ここでは代表的な三つの要因を解説します。
- 家庭でのサポート体制
- 教室や講師との相性
- 無理のない頻度・難易度の設定
家庭でのサポート体制
送迎や練習の見守りなど、家庭側のサポート体制が整っているかどうかは継続に影響します。特に幼児期は保護者の関わりが活動への安心感につながりやすく、練習に付き合う時間を確保できるかどうかも継続の分かれ目になります。共働き家庭など時間の確保が難しい場合は、教室選びの段階で送迎のしやすさや練習の負担を考慮しておくと安心できます。
教室や講師との相性
ベネッセの調査では、習い事全体の47パーセントが2年未満でやめており、特に半年未満でやめた子どもの44パーセントが「習い事との相性」を理由に挙げています。相性には、講師の指導スタイルや教室の雰囲気、同じクラスの子どもたちとの関係性など複数の要素が含まれます。一方で2年以上続けている子どもは、相性の問題をすでに乗り越え、レベルやレッスン時間といった別の課題に直面する段階に進んでいることも分かっています。相性の見極めには一定の期間が必要であり、体験レッスンだけでは判断しきれない部分もあると言えそうです。
出典:データで考える子どもの世界│第7回 習い事・学習塾について考える その1 習い事の実態|ベネッセ総合教育研究所
無理のない頻度・難易度の設定
週に何回通うか、どの程度の難易度から始めるかも継続を左右する要素です。頻度が多すぎると他の予定との両立が難しくなり、逆に少なすぎると上達が実感しにくくなる場合があります。難易度についても、本人の力に対して高すぎると挫折感につながりやすく、低すぎると物足りなさを感じることがあるでしょう。教室選びの際は、体験レッスンなどを通じて頻度と難易度のバランスを確認しておくことが望ましいと言えます。
習い事が続きにくい子どもに見られる特徴
続きにくい傾向にもいくつかの共通点があります。ここでは代表的な三つの場合を整理します。
- 難易度と本人の力にずれがある場合
- 始めたきっかけが本人の意思でない場合
- 他の予定との両立が難しい場合
難易度と本人の力にずれがある
課題の難易度が本人の力を大きく上回ると、練習のたびに苦手意識が強まってしまうことがあります。反対に、簡単すぎる課題が続くと退屈さから興味を失うケースも見られます。適切な難易度の見極めには、講師とのコミュニケーションを通じた確認や調整が大切です。
始めたきっかけが本人の意思ではない
保護者の勧めだけで始めた習い事は、本人の中で目的意識が育ちにくい場合があります。もちろんきっかけが保護者主導であっても、途中から本人の興味が育つこともあるため一概には言えません。ただし、始めた理由と現在の気持ちにずれが生じたまま通い続けると、負担感だけが積み重なっていくことも考えられます。定期的に本人の気持ちを確認する機会を持つことが、こうしたずれに早めに気づく手がかりになるでしょう。
他の予定との両立が難しい
学年が上がるにつれて、学業や他の習い事との兼ね合いで時間が足りなくなる場合があります。ベネッセ総合教育研究所のデータでも、小学6年生から中学1年生への進級時に習い事の実施率が5割以下まで下がるという結果が示されています。生活の変化に伴って優先順位を見直す必要が出てくることは、決して珍しい現象ではありません。以下のような場面では、両立の難しさが表面化しやすいと考えられます。
- 定期テストや受験勉強が本格化する時期
- 部活動など学校生活の比重が増える時期
- 複数の習い事を並行して続けている場合
出典:データで考える子どもの世界│第7回 習い事・学習塾について考える その1 習い事の実態|ベネッセ総合教育研究所
続けやすい環境を作るための関わり方
保護者の関わり方次第で、続けやすい環境を整えることは可能です。ここでは三つの視点から関わり方をまとめます。
- 結果よりも過程を認める声かけ
- 子どものペースに合わせた見守り方
- 小さな変化に気づいて伝える工夫
結果よりも過程を認める声かけ
大会の成績や検定の合格といった結果だけに注目すると、結果が出ない時期に子どものやる気が下がりやすくなります。結果に至るまでの練習量や工夫した点に目を向けて言葉をかけることで、子どもは取り組みそのものに意味を見出しやすくなるでしょう。
子どものペースに合わせた見守り方
幼児が「やめたい」と言い出した場合、まずは休む選択肢を提案し、体力がついてから再度続けたくなる可能性を見守る対応が重要です。無理に励まし続けるのではなく、本人の状態や成長段階に応じて距離感を調整することが、長期的な継続につながる場合があります。
小学生以降であれば、やめたい理由を丁寧に聞き取り、クラスや曜日の変更といった具体的な解決策を一緒に検討する姿勢も有効だと考えられます。
小さな変化に気づいて伝える工夫
日々の練習の中で生まれる小さな変化に気づき、それを言葉にして伝えることも継続を支える関わり方の一つです。「前より音がなめらかになった」「昨日より速く泳げるようになった」といった具体的な変化を伝えることで、子ども自身が自分の成長を実感しやすくなります。以下は、声かけの工夫の例です。
- 練習後に良かった点を一つ具体的に伝える
- 本人が気づいていない変化を言葉にして共有する
- 結果に関わらず取り組んだこと自体を認める
こうした積み重ねが、習い事に対する前向きな気持ちを保つ土台になっていきます。
まとめ
習い事が続く子どもの傾向には、興味の方向性の明確さや達成感の積み重ね、自分のペースで取り組める環境などが関わっています。一方で、難易度のずれや本人の意思とかけ離れた開始理由、他の予定との両立の難しさは、継続を妨げる要因になり得るものです。保護者が過程に目を向け、子どものペースに寄り添いながら見守ることが大切です。


