絵本で寝てくれない原因や対処法を紹介

教育・知育

絵本の読み聞かせで寝てくれない子どもも、原因に合わせた工夫を取り入れることで、穏やかに入眠へ向かいやすくなります。毎晩の寝かしつけに悩む時間を、親子でゆったり過ごせる時間に変えていくことができます。

本記事では、絵本を読んでも寝てくれない背景にある睡眠の仕組み、絵本で寝てくれないときの環境の整え方、スムーズな入眠を促すおやすみ絵本の選び方、絵本の催促が続くときの切り替えのルール、寝かしつけの不安を和らげる考え方について紹介します。

絵本を読んでも寝てくれない背景にある睡眠の仕組み

子どもが絵本を読んでも眠らない背景には、睡眠に関する基本的な生理現象が関係していると考えられます。幼児期の睡眠時間や脳の働き、体内時計のメカニズムを整理します。

  • 幼児期に推奨される適切な睡眠時間
  • 寝る前の絵本で脳が興奮する現象
  • 体内時計を整える早起きの効果
  • 週末の寝坊が引き起こすリズムの乱れ
  • 日中の強い刺激が睡眠に与える要因

幼児期に推奨される適切な睡眠時間

1歳から2歳は11時間から14時間、3歳から5歳は10時間から13時間の睡眠時間が推奨されています。米国睡眠医学会が提唱する推奨睡眠時間によると、この基準を確保することが望ましいとされる一方で、日本の子どもの平均睡眠時間は推奨時間を下回る、もしくは下限付近にとどまる傾向があります。

まずは自分の子どもの睡眠時間が推奨範囲に届いているかを、日々の記録から確認してみましょう。

参考:こどもの睡眠|e-ヘルスネット(厚生労働省)

寝る前の絵本で脳が興奮する現象

楽しい出来事や興奮する内容は、深い睡眠への移行を妨げる要因になります。絵本の読み聞かせなどの楽しい体験は脳を活性化させ、睡眠と覚醒を調節する機能が未成熟な時期には、日中の興奮や就寝前の刺激によって深いノンレム睡眠からの不完全な覚醒が起こりやすくなるとされています。

絵本の読み聞かせによって子どもが逆に覚醒してしまう背景には、こうした生理的な理由があると理解できます。

参考:夜驚症になりやすい子の特徴とは?原因・発達障害との関係・対処法を専門的に解説|しまだ小児クリニック

体内時計を整える早起きの効果

早起きをして朝日を浴びることで、自然な眠気が生じやすくなります。起床後に太陽の光を浴びると体内時計のリズムがリセットされ、その15〜16時間後に眠気が出現するとされており、光による体内時計のリセットが毎朝行われないと、その夜の入眠時刻が少しずつ遅れていくと指摘されています。

睡眠習慣を改善するためには、早寝からではなく早起きから取り組む方法が効果的だと考えられます。

参考:健康づくりのための睡眠指針2014|厚生労働省

週末の寝坊が引き起こすリズムの乱れ

週末に平日の起床時刻より遅くまで寝ていると、体内時計が乱れて夜の入眠に影響することがあります。平日の睡眠不足を解消しようと週末に遅くまで寝てしまうと、体内時計が乱れてその日の夜に眠れなくなり、月曜日の起床が難しくなる悪循環を招きやすいとされています。

週末も含めた一貫した睡眠スケジュールを維持することが大切だと考えられます。

参考:こどもの睡眠|e-ヘルスネット(厚生労働省)

日中の強い刺激が睡眠に与える要因

日中の緊張や恐怖、過度な興奮は、夜間の睡眠の質を低下させることがあります。楽しいイベントだけでなく、緊張する場面や怖いテレビ番組の視聴も、入眠時の妨げや夜間の興奮を誘発する一因になると報告されています。

絵本を読み聞かせる日の日中の過ごし方が、夜の睡眠にも関わっている可能性があります。

参考:夜驚症になりやすい子の特徴とは?原因・発達障害との関係・対処法を専門的に解説|しまだ小児クリニック

絵本で寝てくれないときの環境の整え方

子どもが絵本を読んでも寝てくれないときは、寝室の環境や就寝前の家庭全体の過ごし方を見直す視点が役立ちます。入眠を促すための具体的な環境調整方法を5つ解説します。

  • 親の生活スタイルが与える子どもの睡眠への影響
  • 就寝前のデジタル機器による光刺激の制限
  • ぬるめのお風呂によるリラックス効果
  • 夕食の十分な摂取による夜間の途中覚醒の予防
  • 就寝前のカフェインを含む飲食物の制限

親の生活スタイルが与える子どもの睡眠への影響

乳幼児期の睡眠習慣は、保護者の就寝時刻や帰宅時間の影響を受けやすいとされています。親の生活スタイルの夜型化や残業などによる帰宅の遅さは、子どもの就寝時刻の遅れにつながりやすく、生活リズムを整えるには家族ぐるみで早寝・早起きを心がける必要があります。

自身の帰宅時間や家事のスケジュールが子どもの入眠に及ぼす影響を見直す機会にしてみましょう。

参考:こどもの睡眠|e-ヘルスネット(厚生労働省)

就寝前のデジタル機器による光刺激の制限

就寝前の電子機器の使用は、大脳を刺激してメラトニンの分泌を抑制すると考えられています。入床する1時間前のテレビ・インターネット・スマートフォンなどの使用は脳への刺激となり寝つきを悪くするため、子どもだけでなく大人も就寝前は使用を控えるとよいでしょう。

絵本を読む前のスマートフォン操作やテレビ視聴が子どもの脳に与える影響を見直すきっかけになります。

ぬるめのお風呂によるリラックス効果

就寝前の入浴はぬるめのお湯にすることで、心地よい入眠につながりやすいとされています。寝つきを良くするには就寝前にリラックスすることが大切であり、熱すぎるシャワーは交感神経を刺激して体を興奮させるため避けるようにしましょう。

お風呂の温度設定やタイミングを整えることで、絵本を読む前の落ち着いた状態を作りやすくなります。

参考:子どもの睡眠に関する提言|公益社団法人日本小児保健協会

夕食の十分な摂取による夜間の途中覚醒の予防

夕食をしっかり食べることで、夜間に空腹で目が覚める頻度を減らせると考えられています。夕食の栄養と摂取方法を整えて空腹による夜間の覚醒を防ぐことができれば、抱っこやその他の再入眠への要求も抑えやすくなります。

絵本を読み始める前の夕食のとり方は、夜間の連続した睡眠を支える大切な要素です。

就寝前のカフェインを含む飲食物の制限

午後遅くから就寝前にかけては、カフェインを含む飲食物を避ける必要があります。チョコレートやソフトドリンクなどカフェインを含む飲食物を避けることは、良い睡眠を促す基本的な睡眠衛生の一つであり、夕方以降の摂取を控えることで入眠を妨げる覚醒作用を抑えやすくなります。

夕食や寝る前のおやつにカフェインが含まれていないかを確認することも、目が冴えてしまうのを予防する一つの方法です。

スムーズな入眠を促すおやすみ絵本の選び方

寝かしつけに使う絵本は、子どもの情緒を落ち着かせ、入眠を促すテーマや表現のものを選ぶ必要があります。選び方のポイントを5つ解説します。

  • おやすみを意識させるストーリーの選定
  • 興奮させない穏やかな色調と絵柄の基準
  • 心地よい眠りを誘う繰り返しのリズムと語り口
  • 読み聞かせによる子どもの状態不安の軽減効果
  • 発達段階に適した難易度の絵本の重要性

おやすみを意識させるストーリーの選定

主人公が眠りにつくおやすみをテーマにしたストーリーは、子どもの入眠を促しやすいとされています。就寝時の日課として楽しすぎる活動ではなく就寝の合図となる絵本を取り入れることが有効で、キャラクターが眠りにつく内容の絵本は子どもに眠りのタイミングを教える役割を果たします。

どのようなテーマの絵本を選べば、子どもが寝る時間だとスムーズに認識できるかの目安になります。

興奮させない穏やかな色調と絵柄の基準

視覚的な刺激を抑えるために、明るすぎず落ち着いた絵柄の絵本を選ぶことが望ましいとされています。就寝前の環境は照明を暗めにし視覚的な刺激を減らすことが推奨されており、絵本を選ぶ際も極端に鮮やかで強い色彩のものは避け、穏やかでやさしい色彩のものが適していると考えられます。

寝室の明るさに調和し、子どもの目を疲れさせない絵柄を選ぶ基準として役立ちます。

参考:子どもの睡眠に関する提言|公益社団法人日本小児保健協会

心地よい眠りを誘う繰り返しのリズムと語り口

単調で繰り返しの多いリズムや穏やかな語り口の絵本は、入眠を促しやすいとされています。就寝前は心身をリラックスさせることが重要で、起伏に富んだストーリーよりも同じ言葉が繰り返されるオノマトペや、穏やかに話しかけるトーンの絵本のほうが向いていると考えられます。

読み聞かせの際に子どもの脳を興奮させないための、文章やリズムの選び方の参考になります。

参考:子どもの睡眠に関する提言|公益社団法人日本小児保健協会

読み聞かせによる子どもの状態不安の軽減効果

絵本の読み聞かせには、子どもの状態不安を和らげる心理的な効果があるとされています。学級を対象とした調査では、読み聞かせが子どもの状態不安を減少させ、心理的な安定や安心感をもたらすことが示されており、家庭での読み聞かせも親子の情緒的なつながりを深め、就寝前の不安の解消につながります。

絵本の読み聞かせが子どもの不安を和らげ、穏やかな心境で眠りに入る助けになることがうかがえます。

参考:学級における「読み聞かせ」が児童生徒のメンタルヘルスに及ぼす影響についての研究|西九州大学健康福祉学部

発達段階に適した難易度の絵本の重要性

子どもの発達段階に適した、わかりやすい内容の絵本を選ぶことが大切です。絵本の読み聞かせは子どもの認知能力に影響を与えると考えられますが、就寝前に理解が難しいテーマや疑問を生む絵本を読むと、かえって脳が思考を始めて活性化してしまうため、直感的に理解できる難易度のものを選ぶことが望ましいとされています。

子どもの知的興奮を誘う絵本と眠りに導く絵本を区別して使い分ける基準として活用できます。

参考:幼児期の集団および家庭における絵本の読み聞かせと認知能力|京都府立大学公共政策学部

絵本の催促が続くときの切り替えのルール

子どもが絵本を繰り返し催促して寝てくれない場合には、事前のルール作りと行動療法に基づいた対処法を実践することが有効だと考えられます。

  • 就寝前における入眠儀式の手順の固定化
  • 読む冊数の事前約束による制限設定の実践
  • 絵本の追加要求に対応しない消去法の適用
  • 眠気の発生に合わせて就床時刻を調整する睡眠制限法
  • 毎日同じルールを維持する一貫した対応の重要性

下の表は、行動療法に基づいた4つのアプローチの特徴を簡単に整理したものです。

アプローチ主な内容
入眠儀式入浴や絵本など同じ手順を毎晩繰り返す
制限設定読む冊数などをあらかじめ約束して守る
消去法追加の要求にそれ以上反応しないようにする
睡眠制限法(就床時刻フェージング)眠気に合わせて就床時刻を少しずつ早める

就寝前における入眠儀式の手順の固定化

毎日同じ時刻に同じ手順で寝かしつけを行うことで、スムーズな入眠を促しやすくなります。入眠儀式とは、入浴や着替え、絵本の読み聞かせなどを同じ時刻・同じ順番で行う寝る前の決まりごとであり、手順を固定することで子どもは次に寝る時間であることを自然に受け入れやすくなるとされています。

日々の絵本の読み聞かせを、入眠のためのルーティンとして位置づける方法の一つになります。

参考:入眠スイッチ=入眠儀式|東北大学病院生理検査センター

読む冊数の事前約束による制限設定の実践

絵本を読み始める前に「今日は何冊まで」と明確に約束し、一貫して守ることが効果的です。親が睡眠に関する行動に適切な制限を設けない場合、就寝時間の遅延や絵本の催促が繰り返される制限設定タイプの不眠が起こりやすくなるとされ、一貫した制限を設けることで子どもの就寝拒否を防ぎやすくなります。

子どもの催促に流されず、あらかじめ決めたルールを保つことの大切さが分かります。

絵本の追加要求に対応しない消去法の適用

約束した冊数を読み終えたあとは、泣いたり呼んだりしても反応しない対応をとります。消去法は、就寝時の不適切な行動を強化している親の対応を意図的に行わないようにする行動療法的アプローチの一つであり、親子同室で親はそばにいるものの、それ以上の対応をしない保護者同伴の消去法が現実的な方法とされています。

絵本の催促が止まらないときに、子どもの抗議に反応しすぎない具体的な行動の目安が得られます。

眠気の発生に合わせて就床時刻を調整する睡眠制限法

眠気が生じる遅い時間からベッドに入り、段階的に就床時刻を早めていく方法があります。睡眠制限法では、最初は普段入眠している遅い時間帯に就床させ、すんなり眠れるようになったら15分から30分ずつ就床時刻を早めていくことで、ベッドの中で起きている不満や催促を減らしやすくなるとされています。

早い時間に寝てくれない子どもに対しても、段階的に時間帯を調整していく計画を立てられます。

毎日同じルールを維持する一貫した対応の重要性

日によってルールを変えず、常に同じ対応を続けることで子どもに予測可能性を持たせやすくなります。養育者が一貫しない態度で対応すると子どもの就寝時の要求や抵抗が強まりやすいとされ、規則正しい起床・就寝時刻を守らせることは乳幼児期のしつけの一環として重要視されています。

共働きで疲れている日でも一貫した態度をとることが、長期的に寝かしつけを楽にする道につながると考えられます。

寝かしつけの不安を和らげる考え方

寝かしつけがうまくいかないと、保護者は自分の育て方が原因ではないかと悩みやすくなります。科学的な知見をもとに、過度な責任感や不安を和らげる考え方を説明します。

  • 指導的な養育態度による規則正しい習慣形成
  • 幼児の睡眠不足が親の育てにくさに与える影響
  • 夜驚症が脳の発達途上に起こる生理現象である理由
  • 成長に伴う癇癪や睡眠問題の自然な消失
  • 睡眠習慣の問題が改善しない場合の専門医の受診基準

指導的な養育態度による規則正しい習慣形成

愛情を持って子どもの要求を受け入れつつ、毅然とした生活規律を設ける養育態度が役立つと考えられます。母親の養育態度のうち、受容・関与と厳格・監督の双方が高い「指導的」なグループは、他の放任的・寛大な親に比べて子どもの休日と平日の睡眠リズムの変動幅が小さく、規則正しい習慣を形成できていることが報告されています。

甘やかすのでも厳しく抑圧するのでもない、指導的な養育態度のメリットとして理解できます。

幼児の睡眠不足が親の育てにくさに与える影響

乳児期の育てにくさを感じる要因のうち、睡眠に関する問題は大きな位置を占めるとされています。0〜1歳児を育てる保護者への調査によると、育てにくさを説明する要因として睡眠に関する問題が最も大きいことが示されており、寝かしつけに苦労するのは保護者の能力不足ではなく、乳幼児期に広く生じる困難だと捉えられます。

寝かしつけの苦労は多くの家庭が共有している悩みであり、自分を責める必要はないと安心できます。

夜驚症が脳の発達途上に起こる生理現象である理由

夜間の突然のパニックや夜驚症は、脳の発達途上に起こる一時的な生理現象です。幼児期に見られる夜驚症は、脳の睡眠覚醒調節機能が未成熟であるために深いノンレム睡眠から不完全に覚醒することで生じるものであり、親の愛情不足や日中の叱りすぎが原因ではないとされています。

夜間に子どもがパニックを起こした際、自分を責める気持ちから解放されやすくなります。

参考:夜驚症になりやすい子の特徴とは?原因・発達障害との関係・対処法を専門的に解説|しまだ小児クリニック

成長に伴う癇癪や睡眠問題の自然な消失

多くの就寝時の悩みや癇癪は、年齢が上がるにつれて自然に和らいでいくとされています。調査によると、保護者の悩みの中で高い割合を占める「かんしゃく」は、3歳から6歳になると頻繁には出てこなくなることが明らかになっており、無理にすべてを完璧に改善しようとせず、今を無理せず乗り切る選択肢を持つことが大切だと考えられます。

現在の寝かしつけの辛さが一時的なものだと知ることで、心にゆとりを持ちやすくなります。

睡眠習慣の問題が改善しない場合の専門医の受診基準

睡眠の問題が長期間続き、日中の生活に支障がある場合は専門医への相談を検討しましょう。睡眠不足や睡眠障害が持続すると日中の行動上の問題や不調を引き起こす可能性があり、寝つきづらさが1か月以上にわたって長引く場合は、かかりつけの小児科医や専門家に相談することがすすめられます。

いつ、どこに相談すべきかの判断基準を持つことで、一人で悩みを抱え込まずに済みます。

出典:こどもの睡眠|e-ヘルスネット(厚生労働省)

まとめ

絵本を読んでも寝てくれない背景には、脳の発達段階による興奮や環境・ルール設定の課題が関係していると考えられますが、寝かしつけの困難は家庭ごとの育て方の問題ではなく、幼児期に広く見られる一時的な現象です。早起きによる体内時計の調整やおやすみ絵本の選び方、冊数の約束といった工夫を少しずつ取り入れながら、無理のないペースで親子の入眠時間を整えていきましょう。