知育玩具は、子どもが自分なりの工夫で物を組み合わせ、新しい形を生み出す力を育てる手段の一つです。日々の遊びに取り入れることで、創造力は少しずつ積み重なっていきます。
本記事では、知育玩具で創造力が高まる仕組み、年齢ごとの発達の特徴、玩具を選ぶ際の視点、家庭での実践方法、そして具体的なおすすめの玩具について紹介します。
知育玩具で創造力が高まる理由・メカニズム
知育玩具がなぜ創造力を育てやすいのか、その仕組みを整理すると理解が深まります。ここでは、知育玩具と創造力の関係を3つの角度からまとめます。
- 試行錯誤を繰り返す中で発想が広がる仕組み
- 遊び方が一つに決まっていない玩具の効果
- 手を動かして形にする体験が発想を後押しする理由
試行錯誤を繰り返す中で発想が広がる仕組み
創造力は、一度の思いつきだけで完成するものではなく、作っては崩し、また作り直すという繰り返しの中で磨かれていきます。国際的な非営利団体であるレゴ財団の調査報告では、こうした反復的な思考の実践を通じて、子どもの脳が代替的な視点の採用や柔軟な思考、創造性に関わる働きを活性化させるという研究が紹介されています。積み木やブロックのように何度でも組み直せる玩具は、この試行錯誤の機会を自然に増やす特徴があります。失敗してもすぐにやり直せる環境は、新しい発想を試す心理的な負担を軽くします。
参考:Learning through play: a review of the evidence|The LEGO Foundation|The LEGO Foundation
遊び方が一つに決まっていない玩具の効果
遊び方があらかじめ一つに定められている玩具は、その通りに動かすことに意識が向きやすく、子ども自身の発想が入り込む余地は狭くなります。一方で、積み木やブロック、粘土のように使い方を子ども自身が決められる玩具は、同じ道具からでも毎回違う形を生み出せる特徴があります。遊び方が限定されていない玩具ほど、子どもが自分なりの目的を持って組み合わせを考える機会が増えます。日本知育玩具協会も、知育玩具を「遊びを通して集中力や創造力、やり抜く力を身につける」ための道具と位置づけ、知識を詰め込む道具ではないことを強調しています。
参考:協会理念|一般社団法人日本知育玩具協会|一般社団法人日本知育玩具協会
手を動かして形にする体験が発想を後押しする
頭の中で考えたことを実際に手で組み立て、目に見える形にする体験は、次の発想を生み出すきっかけになります。文部科学省の資料では、遊びが「多くのことを柔軟に違うやり方で行えるようになることを助ける」と説明されており、体を動かしながら試すことが表現の幅を広げると考えられています。積み木を高く積む、ブロックを横に並べるといった手を動かす行為そのものが、次にどう組み合わせるかという発想を引き出します。この体験の繰り返しが、頭の中だけで考えるよりも豊かな発想につながりやすくなります。
参考:幼児教育の基本となる乳幼児の発達と遊びと学びの特徴(無藤隆)|文部科学省|文部科学省
創造力の発達段階と年齢に応じた遊びの特徴
創造力の育ち方は、年齢によって現れ方が変わります。ここでは、未就学児から小学校低学年までの発達の目安を4つの段階に分けてまとめます。
- 1歳から2歳ごろに見られる身近な物をそれらしく扱う時期
- 3歳から4歳ごろに見られるイメージを膨らませる時期
- 5歳から6歳ごろに見られる目的を持って作る時期
- 小学校低学年に見られる工夫を言葉や作品で表す時期
1歳から2歳ごろ 身近な物をそれらしく扱う時期
この時期の子どもは、積み木を電話に見立てて耳に当てたり、布を毛布に見立てて人形にかけたりするなど、身近な物を別の物に見立てて扱う姿が見られるようになります。こども家庭庁がまとめる保育所保育指針の解説でも、この年齢の保育内容として「身近な物と関わり感性が育つ」ことがねらいの一つに示されています。この段階では、決まった正解を求めるよりも、子どもが自由に見立てて扱えるかどうかが大切です。大人が正しい使い方を教え込むよりも、子どもの見立てにあわせて言葉を添えるほうが、発想を広げやすい関わり方です。
参考:保育所保育指針解説|こども家庭庁|こども家庭庁
3歳から4歳ごろ イメージを膨らませる時期
3歳を過ぎるころから、子どもは頭の中のイメージをより具体的に膨らませ、ごっこ遊びのように役割や場面を作り出して遊ぶようになります。積み木を並べて道路に見立てたり、複数の玩具を組み合わせて一つの街を作ったりするなど、単純な見立てから一歩進んだ表現が増えていきます。この時期は、玩具の数を増やすよりも、組み合わせ方の自由度が高い玩具を用意するほうが、イメージを形にする力を育てやすくなります。積み木やブロックのように形の異なるパーツを組み合わせられる玩具は、この段階の遊びに適しています。
5歳から6歳ごろ 目的を持って作る時期
5歳を過ぎると、子どもは「これを作る」という目的をあらかじめ決めてから遊び始めることが増えます。作りたい物のイメージを持ち、必要な材料を選び、うまくいかないときは組み方を変えて調整するなど、計画と修正を繰り返しながら形にする力が育っていきます。この時期は、完成までの手順を子ども自身が考える経験が、創造力を伸ばすうえで意味を持ちます。大人が手順を先に示してしまうと、子どもが自分で考える機会を奪うことになりかねません。見守りながら、必要なときだけ声をかける関わり方が適しています。
小学校低学年 工夫を言葉や作品で表す時期
小学校に入ると、図画工作科の授業を通じて、感じたことや想像したことを言葉や作品で表す機会が増えます。文部科学省の学習指導要領解説では、低学年の学習として「感覚や気持ちを生かしながら楽しくつくること」や、体全体を働かせて「並べたり、つないだり、積んだりする」活動が示されています。この時期は、遊びの延長として取り組める知育玩具が、学校での学びと家庭での遊びをつなぐ役割を果たします。作った物について「どこを工夫したのか」を尋ねる関わりが、言葉で表現する力にもつながります。
参考:第2章 各教科 第7節 図画工作:文部科学省|文部科学省
創造力を高めやすい知育玩具を選ぶ際のポイント
知育玩具を選ぶときに意識したい視点は複数あります。ここでは、創造力を育てやすい玩具選びのポイントを4つにまとめます。
- 遊び方が一つに決まっていない玩具を選ぶ視点
- 子どもの発達段階に合った玩具を選ぶ視点
- 素材や形を組み合わせられる玩具を選ぶ視点
- 子どもが自分で選べる環境を整える視点
遊び方が一つに決まっていない玩具を選ぶ
玩具を選ぶときは、パッケージに示された遊び方が一つしかない物よりも、子どもが自分で遊び方を考えられる物を意識して選ぶと、創造力を育てやすくなります。積み木やブロック、粘土、パターンブロックなどは、同じセットでも子どもによって作る物が変わる特徴があります。遊び方が決まっていない玩具ほど、繰り返し遊んでも飽きにくく、長く使い続けられる傾向があります。購入前には、その玩具でどれだけ多様な遊び方ができそうかを、パッケージの説明や口コミから確認しておくと選びやすくなります。
子どもの発達段階に合った玩具を選ぶ
創造力を育てやすい玩具であっても、子どもの発達段階に合っていなければ十分に生かせません。日本知育玩具協会は、児童精神科医の理論を踏まえ、子どもの成長段階に沿って玩具を選ぶことの大切さを掲げています。対象年齢が近すぎる玩具や難しすぎる玩具を選ぶと、子どもが工夫する前に扱いづらさで遊びをやめてしまうことがあります。パッケージに示された対象年齢を目安にしつつ、子どもの普段の遊び方や手先の器用さもあわせて確認すると、無理なく取り入れられます。
参考:協会理念|一般社団法人日本知育玩具協会|一般社団法人日本知育玩具協会
素材や形を組み合わせられる玩具を選ぶ
創造力のうち、0から新しい物を作り出す力は、複数の要素を組み合わせる経験を通じて育ちやすいと考えられています。形や色、大きさの異なるパーツを組み合わせられる玩具は、子どもが自分なりの構成を考える機会を自然に増やします。パーツの種類が多すぎる玩具よりも、少ない種類のパーツを多様に組み合わせられる玩具のほうが、工夫の余地を残しやすい傾向があります。木製の積み木やマグネットブロックなどは、この条件に当てはまりやすい玩具の一例です。
子どもが自分で選べる環境を整える
玩具そのものの特徴だけでなく、子どもが自分で玩具を選び取れる環境を整えることも、創造力を育てるうえで意味を持ちます。棚に並べる玩具の数を絞り、子どもが一目で選べるように配置しておくと、遊びの主体を子ども自身に委ねやすくなります。大人があらかじめ遊び方を決めて渡すよりも、子どもが自分で玩具を選び、使い方を考える機会を残すほうが、工夫する姿勢を育てやすくなります。片づけの際も、子ども自身が分類や配置を考える経験として活用できます。
知育玩具で創造力を高める効果的な実践方法
玩具を選んだあとの関わり方によって、創造力の育ち方は変わります。ここでは、家庭で取り入れやすい実践方法を4つにまとめます。
- 完成形を先に見せずに自由に試させる方法
- 工夫した点を言葉にして問いかける方法
- 失敗や崩れた作品も肯定的に受け止める方法
- 遊び込める時間を確保する方法
完成形を先に見せずに自由に試させる
玩具に付属する完成写真や説明書通りの作り方を先に見せてしまうと、子どもはその通りに再現することを目標にしてしまい、自分なりの工夫を試す機会が減ります。創造力を育てたい場面では、完成形を示す前に、まず自由にパーツを組み合わせさせることが効果的です。うまく形にならなくても、子どもなりに試した過程そのものが経験として残ります。完成写真は、子どもが飽きてきたときの参考としてあとから見せる程度にとどめると、自由な発想を保てます。
工夫した点を言葉にして問いかける
子どもが玩具で何かを作ったあと、「これは何?」と結果だけを尋ねるのではなく、「どうしてこの形にしたの」「ここはどう工夫したの」と過程を尋ねる問いかけは、子ども自身が自分の工夫を言葉で振り返る機会になります。工夫を言葉にする経験を積み重ねると、次に作るときも意図を持って組み立てようとする姿勢が育ちやすくなります。答えがすぐに出なくても急かさず、子どものペースで言葉が出てくるのを待つ関わりが適しています。
失敗や崩れた作品も肯定的に受け止める
積み木が崩れたり、思った形にならなかったりすることは、創造的な遊びの中でごく普通に起こる過程です。大人が崩れた結果だけを見て残念そうな反応をすると、子どもは失敗を避けて無難な遊び方に留まりやすくなります。崩れたこと自体よりも、そこまで積み上げようとした工夫や、崩れたあとにどう作り直すかという過程に目を向けて言葉をかけると、子どもは試行錯誤そのものを前向きに捉えやすくなります。作り直す姿を見守ることも、創造力を育てる関わり方の一つです。
遊び込める時間を確保する
創造力を育てる遊びは、短時間で区切られてしまうと、子どもが工夫を深める前に終わってしまうことがあります。一つの遊びにまとまった時間を確保できると、子どもは試行錯誤を重ねながら自分なりの形にたどり着きやすくなります。平日は時間の確保が難しい家庭でも、休日にまとまった時間を用意する、片づけの時間を気にせず遊べる日を決めておくといった工夫で、遊び込む機会を作れます。時間に余裕がある環境そのものが、創造力を育てる条件の一つになります。
創造力が高まる知育玩具のおすすめ8選
ここまでの考え方を踏まえ、創造力を育てやすい知育玩具を8種類に整理します。年齢の目安もあわせて確認してください。
以下の表に、それぞれの玩具が向いている年齢の目安と特徴をまとめました。
| 玩具の種類 | 年齢の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 木製の積み木 | 1歳ごろから | 見立てから構成遊びまで幅広く使えます |
| ブロック | 3歳ごろから | パーツを組み合わせて自由な形を作れます |
| マグネットブロック | 3歳ごろから | 立体的な構成を直感的に試せます |
| 粘土セット | 2歳ごろから | 形を自由に変えながら作り直せます |
| ビーズ・アクセサリー作成キット | 5歳ごろから | 配置や色の組み合わせを工夫できます |
| 廃材・ダンボール工作キット | 4歳ごろから | 身近な材料から自分なりの物を生み出せます |
| パターンブロック・タングラム | 4歳ごろから | 図形の組み合わせで模様や形を構成できます |
| ごっこ遊びセット | 2歳ごろから | 場面や役割を自分なりに作り出せます |
木製の積み木
積み木は、形の異なるパーツを組み合わせて自由に構成できる玩具の代表例です。1歳ごろの見立て遊びから、5歳以降の目的を持った構成遊びまで、幅広い年齢で使い続けられる点が特徴です。積み上げては崩し、また作り直すという繰り返しが自然に生まれやすく、試行錯誤の経験を積める玩具です。木製の物は重さや質感が安定しているため、崩れ方も含めて感覚的に学びやすい特徴があります。
ブロック(組み立てブロック)
レゴなどに代表される組み立てブロックは、パーツ同士をつなげることで立体的な構成を作れる玩具です。パーツの形や色が豊富な分、子どもが思い描いた物を細部まで作り込みやすい特徴があります。作例集が付属している商品も多いですが、まずは自由に組み立てさせ、作例は参考程度に使うと発想を保てます。年齢が上がるほどパーツを細かく使い分けられるようになり、複雑な構成にも挑戦しやすくなります。
マグネットブロック
磁石の力で面同士をくっつけるマグネットブロックは、力の弱い子どもでも立体を組み上げやすい玩具です。パーツをつなげる操作が簡単な分、組み立てそのものよりも形を考えることに意識を向けやすい特徴があります。平面のパーツを組み合わせて立体を作る過程で、図形の性質を感覚的に理解する機会にもなります。透明な色付きパーツを使った商品では、光を通した見え方の変化も楽しめます。
粘土セット
粘土は、決まった形を持たない素材から、子どもが思い描いた物を自由に作り出せる玩具です。一度作った形を崩してすぐに作り直せるため、失敗を気にせず試行錯誤を繰り返しやすい特徴があります。色を混ぜて新しい色を作る過程も、組み合わせによって新しい物を生み出す経験の一つです。小麦粉粘土や小麦アレルギーに配慮した米粉粘土など、年齢や家庭の事情に応じて選べる種類も増えています。
ビーズ・アクセサリー作成キット
ビーズを通して自分なりの模様や作品を作るキットは、色や形の組み合わせを考える力を育てやすい玩具です。細かいパーツを扱う分、手先の器用さが必要になりますが、その分だけ配置や順番を工夫する余地も広がります。年齢の低い子どもには大きめのビーズを、手先が発達してきた子どもには小さめのビーズを選ぶなど、発達段階に合わせて難易度を調整しやすい点も特徴です。完成した作品を実際に身につけられることも、作る意欲につながります。
廃材・ダンボール工作キット
空き箱やダンボール、ペットボトルのふたといった身近な廃材を使った工作は、決まった正解がない分、子どもの発想がそのまま形に表れやすい遊びです。材料の形や大きさが不揃いな分、子どもが工夫して組み合わせる必要があり、創造力を育てる機会が多い遊びといえます。市販の工作キットには、廃材の使い方の例や道具の使い方を補助する説明が付属している物もあり、初めて取り組む家庭でも扱いやすくなっています。はさみやのりの扱いに慣れる練習としても活用できます。
パターンブロック・タングラム
正方形や三角形などの図形パーツを組み合わせて模様や形を作るパターンブロックやタングラムは、図形の組み合わせを考える力を育てやすい玩具です。同じパーツを使っても、並べ方によって全く違う形が生まれる点が、この玩具ならではの特徴です。動物や乗り物といったお題を用意して取り組む遊び方もありますが、まずは自由に並べさせ、慣れてきたらお題に挑戦させる順序で取り入れると、発想を狭めずに使えます。図形の感覚を養う遊びとしても活用できます。
ごっこ遊びセット(ままごとなど)
ままごとやお店屋さんごっこに使う道具のセットは、子どもが場面や役割を自分なりに作り出す力を育てやすい遊びです。道具そのものの機能よりも、子どもがその道具をどう使い、どんな場面を作り出すかに発想の余地があります。決められた台本がない分、遊ぶたびに違う展開が生まれやすく、兄弟姉妹や友達と一緒に遊ぶことで、互いの発想を取り入れながら遊びを広げる経験にもつながります。身近な素材を組み合わせて道具を手作りすることも、創造力を育てる遊び方の一つです。
まとめ
知育玩具を通じた工夫の積み重ねは、子どもが新しい物を形にする力を育てる土台になります。今日の遊びの中に、遊び方が一つに決まっていない玩具と、自由に試せる時間を取り入れてみてください。
