子どもに対してどれくらいの数の習い事をさせてあげるのが適切か、迷いますよね。4~5個の習い事をしている子どもも少なくなく、焦りを持ったことのある方も少なくないのではないでしょうか。
本記事では、子どもの習い事の平均的な数や決め方・考え方を紹介します。
習い事の数が気になる保護者の背景
わが子の習い事の数について、他の家庭との違いが気になる保護者は少なくありません。ここでは、そうした気持ちが生まれやすい背景を整理します。
- 周囲の家庭と比較してしまう心理
- 「多いほうがいい」という思い込み
- 数そのものより中身が気になる理由
周囲の家庭と比較してしまう心理
ママ友や園・学校の保護者同士の会話で、他の子どもの習い事の話題が出る場面は珍しくありません。自分の子どもと比べて数が少ないと感じると、機会を逃しているのではという不安につながりやすくなります。反対に数が多い家庭を見ると、詰め込みすぎではと心配になる保護者もいます。こうした比較は、SNSで他家庭の様子が見えやすくなった影響も受けていると考えられます。もっとも、投稿される情報はよい面だけが切り取られていることも多く、実際の負担や苦労までは見えにくい点にも注意が必要です。
「多いほうがいい」という思い込み
将来の選択肢を広げたいという思いから、習い事の数を増やそうとする家庭もあります。しかし、数を増やせば増やすほど子どもの成長につながるとは限りません。時間や体力には限りがあるため、詰め込みすぎるとひとつひとつへの集中力が下がる恐れもあります。数の多さと成長の度合いは、単純に比例するわけではないと捉えておくと安心です。むしろ興味のあるものを絞り込み、じっくり取り組む時間を確保するほうが力につながる場合もあります。
数そのものより中身が気になる理由
保護者が本当に気にかけたいのは、習い事の数よりも子どもがどのように取り組んでいるかという点です。数が同じでも、意欲的に楽しんでいる子どももいれば、負担に感じている子どももいます。数字だけを追いかけるのではなく、日々の様子や表情から満足度を読み取る視点が求められます。宿題や送り迎えの合間に子どもと会話する時間を意識的に作ると、変化にも気づきやすくなります。
子どもの習い事の平均的な数
実際に他の家庭がどのくらいの数の習い事をしているのか、公表されている調査データをもとにまとめます。
- 全体で見た平均的な習い事の数
- 未就学児と小学生での違い
- 地域や世帯による傾向の違い
全体で見た平均的な習い事の数
学研教育総合研究所の小学生白書によると、現在習い事をしている小学生の割合は80.4パーセントとなっています。
出典:習い事 – 小学生白書Web版|学研教育総合研究所
またベネッセ教育情報が紹介する調査では、習い事をしている児童のうち「1つ」と回答した割合は45.2パーセント、「2つ以上」は54.7パーセントとされており、複数を掛け持ちする家庭がやや多い状況がうかがえます。
出典:【2024年版】小学生に人気の習い事ランキング!平均費用や習っている数も紹介|ベネッセコーポレーション
半数以上の家庭が2つ以上を選んでいる一方、1つに絞る家庭も一定数あり、平均像はおおむね1つから2つの範囲に収まると捉えておくとよいでしょう。
未就学児と小学生での違い
学研教育総合研究所の幼児白書では、就学前の子どもの習い事実施率は56.1パーセントと示されています。
出典:幼児白書Web版|学研教育総合研究所
小学生の80.4パーセントと比べると、未就学児のうちはまだ始めていない家庭も多いことが読み取れます。またバンダイが実施した調査では、0歳から6歳の子どもで習い事をしている割合は65.5パーセント、小学1年生から6年生では65.7パーセントとほぼ同水準になっており、就学を境に一段と習い事へ取り組む家庭が増える傾向がうかがえます。
出典:「子どもの習い事に関する意識調査」結果|株式会社バンダイ
下表に、ここまでの調査結果を年齢層ごとに整理しました。
| 年齢層 | 習い事実施率 | 主な調査 |
|---|---|---|
| 就学前(幼児) | 56.1パーセント | 学研教育総合研究所 幼児白書 |
| 0歳から6歳 | 65.5パーセント | バンダイ 意識調査 |
| 小学1年生から6年生 | 65.7パーセント(別調査では80.4パーセント) | バンダイ調査・学研 小学生白書 |
地域や世帯による傾向の違い
習い事の数は、都市部か地方か、共働き世帯かどうかといった条件によっても変わりやすいと考えられます。都市部は教室数や選択肢が多く、複数を掛け持ちしやすい環境が整っている一方、地方では通える教室の数自体が限られる場合があります。また共働き世帯では、送迎の都合から習い事の数を絞る家庭も見られます。世帯収入や家族構成によっても事情は異なるため、平均値はあくまで目安として捉え、自分の家庭の状況と照らし合わせて考えたいところです。近所や職場で聞く話だけを基準にせず、複数の情報源を参考にしながら判断すると、偏りの少ない見方につながります。
年齢別に見る習い事数の傾向
子どもの成長段階によって、習い事の数がどのように変化していくのかをたどります。
- 未就学児の時期の傾向
- 小学校低学年の時期の傾向
- 小学校高学年の時期の傾向
未就学児の時期の傾向
未就学児の時期は、水泳や体操教室、英会話といった体を動かす系統や語学系の習い事から始める家庭が目立ちます。学研教育総合研究所の調査でも、就学前の習い事で最も人気なのは水泳で21.8パーセントとされています。
出典:幼児白書Web版|学研教育総合研究所
この時期はまだ体力や集中力が発達途上のため、1つから2つ程度に留める家庭が多く、様子を見ながら少しずつ増やしていくケースが一般的です。園の行事やお昼寝の時間との兼ね合いも大きいため、無理なく通える曜日を優先して選ぶ家庭も目立ちます。
小学校低学年の時期の傾向
小学校に上がると生活リズムが整いやすくなり、習い事を追加する家庭が増えてきます。学研教育総合研究所の調査でも、小学生の習い事実施率は80.4パーセントに達しており、就学前と比べて明確に上昇しています。
出典:習い事 – 小学生白書Web版|学研教育総合研究所
低学年のうちは学童保育や放課後の時間を活用しやすく、水泳や音楽、学習系の教室を組み合わせる家庭が多く見られます。ただし新しい環境への適応途中でもあるため、無理のない範囲で選ぶ配慮も大切な観点になります。
小学校高学年の時期の傾向
高学年になると、中学受験や部活動、地域のクラブ活動などと両立を考える家庭が増えてきます。学習系の比重が高まるにつれ、運動系や芸術系の習い事を整理する家庭も少なくありません。友人関係や本人の興味の変化によって、続けたい習い事とやめたい習い事がはっきりしてくる時期でもあります。数を無理に維持するのではなく、本人の意思を確認しながら見直す機会として捉えるとよいでしょう。塾を1つに絞り、それ以外の運動系や芸術系を1つ残す程度に落ち着く家庭も少なくなく、結果として全体の数は低学年の頃と大きく変わらないまま内容だけが入れ替わる例も見られます。
参考:「子どもの習い事に関する意識調査」結果|株式会社バンダイ
習い事の数を決める際に考慮したい視点
数を決める際に押さえておきたい実務的な観点を解説します。
- 子どもの体力・時間の余裕
- 家庭の送迎・費用の負担
- きょうだいがいる場合の調整
子どもの体力・時間の余裕
習い事の数を検討する際は、まず子どもの体力と自由時間の残り方を確認したいところです。学校生活や宿題に加えて習い事を詰め込むと、遊びや休息の時間が削られてしまいます。次のような点を確かめると、無理のない数を見極めやすくなります。
- 帰宅後にゆっくり過ごせる時間が残っているか
- 週末に予定が詰まりすぎていないか
- 疲れた様子や体調不良のサインが出ていないか
これらを踏まえたうえで、増やすか減らすかを判断すると納得感のある選択につながります。
家庭の送迎・費用の負担
習い事の数は子ども本人の事情だけでなく、保護者の送迎や家計の負担とも深く関わっています。教室が離れていたり、開始時間が重なったりすると、送迎の調整が難しくなる場合があります。月謝や教材費、道具代などの費用も、数が増えるほど積み重なっていきます。年度替わりに必要な費用や発表会・大会にかかる出費も含めて見積もっておくと、想定外の負担を避けやすくなります。家庭の生活リズムや家計の状況と照らし合わせながら、続けやすい範囲を見定めることが現実的な進め方です。
きょうだいがいる場合の調整
きょうだいがいる家庭では、それぞれの習い事の数や送迎の兼ね合いを調整する必要が出てきます。上の子と下の子で始める時期をずらしたり、同じ教室に通わせて送迎を一本化したりする工夫も見られます。きょうだい間で数に差がつくと不公平感につながることもあるため、年齢や興味に応じた説明を添えると納得を得やすくなります。家庭全体のスケジュールを俯瞰しながら数を調整する視点が役立ちます。
数よりも大切にしたい視点
最後に、数字にとらわれすぎないための考え方を確認します。
- 一つひとつへの取り組み方の質
- 子ども自身が楽しめているかどうか
- 生活全体のバランス
一つひとつへの取り組み方の質
同じ数の習い事でも、集中して取り組めているかどうかで得られるものは変わってきます。惰性で通っている状態よりも、少ない数でも意欲的に取り組んでいる状態のほうが、力の伸びにつながりやすいと考えられます。習い事を選ぶ段階から、続けられそうか、興味を持てそうかを確認しておくと、質の高い時間につながります。体験教室に参加してから決めるなど、始める前の見極めも取り組みの質を大きく左右します。
子ども自身が楽しめているかどうか
保護者がよかれと思って選んだ習い事でも、子ども自身が楽しめていなければ長続きしにくいものです。行きたがらない様子が続く場合や、表情が沈みがちな場合は、数を見直すサインかもしれません。定期的に子どもの気持ちを聞く機会を設けることで、本人の意欲を尊重した数の調整がしやすくなります。逆に本人が強く続けたいと望む場合は、家庭の負担を工夫しながら形を模索する柔軟さも役立ちます。
生活全体のバランス
習い事は生活の一部であり、勉強や遊び、家族との時間と合わせて全体のバランスを考える必要があります。習い事の数だけを基準にするのではなく、一日や一週間の過ごし方全体を見渡し、余白のある生活を保てているかを確認したいところです。数字上の平均に近づけることよりも、その家庭にとって心地よいリズムを築くことが結果として長続きにつながります。定期的に生活全体を見直し、増やす時期と絞る時期を意識的に切り替えていく柔軟さも、長く続けるうえでの支えになるはずです。
まとめ
平均的な数はあくまで目安であり、家庭の状況や子ども本人の様子によって適した数は変わってきます。数字を基準にしすぎるのではなく、取り組み方の質や本人の意欲、生活全体のバランスを踏まえながら、その家庭に合った形を探りましょう。


