絵本の読み聞かせで泣き止まない時の対処法や絵本の選び方を紹介

教育・知育

絵本の読み聞かせで赤ちゃんが泣き止まないときでも、その背景を知ったうえで対応すれば、焦らずに向き合いやすくなります。原因に合わせた関わり方を身に付けることで、読み聞かせの時間が親子にとって心地よいものに変わっていきます。

本記事では、読み聞かせで赤ちゃんが泣き止まない背景、泣き止まない赤ちゃんへの向き合い方、泣き止まない時に適した絵本の選び方、絵本の読み聞かせが子どもに及ぼす好影響、読み聞かせによる育児ストレスの解消法について紹介します。

読み聞かせで赤ちゃんが泣き止まない背景

あやしや寝かしつけとして絵本を読んでも赤ちゃんが泣き止まなかったり、逆に激しく泣き出してしまったりすることがあります。その背景を5つの観点から整理します。

  • 感覚発達に伴う刺激への過剰な反応
  • 親の声のトーンから生じる気分の伝播
  • 身体的な不快感が生じるタイミング
  • 泣き止まない状況での親の心理的な焦り
  • 言葉が介在しない意思疎通のすれ違い

感覚発達に伴う刺激への過剰な反応

赤ちゃんの感覚器官が発達する途上では、絵本という新しい視覚刺激に過剰な反応を示し、泣き出してしまうことがあります。生まれたばかりの赤ちゃんの視力は0.01〜0.02程度で、明るさと暗さを区別できる程度にとどまり、生後9ヶ月を過ぎる頃になってようやく0.2程度まで発達するとされています。

周囲がぼんやりとしか見えない時期に絵本の色や形が強い刺激となり、一時的に泣いてしまうことがあると考えられます。

参考:新生児の目が見える頃はいつ?確認するには?赤ちゃんの視力発達と月齢ごとの成長|ムーニー

親の声のトーンから生じる気分の伝播

赤ちゃんが泣き止まないときに親が感じる心理的な緊張は、声のトーンを通じて赤ちゃんに伝わることがあります。赤ちゃんは他者の生理的な状態に影響を受けやすく、同じ呼吸やリズムで同調する性質を持つとされています。

親の焦りや疲労から発せられた声の調子や呼吸の強張りが赤ちゃんに伝わり、泣き声がさらに激しくなる傾向があると考えられます。

身体的な不快感が生じるタイミング

オムツの汚れや空腹、眠気などの身体的な不快感があるタイミングでは、絵本を読んでも赤ちゃんが泣き止まない傾向があります。要求を自分で満たせない乳幼児は、泣くことでそれを養育者に伝えているとされています。

身体的な欲求が満たされていない状態で読み聞かせを行っても、不快感を解消することは難しいと考えられます。

泣き止まない状況での親の心理的な焦り

赤ちゃんが泣き止まない状況において、感情を無理にコントロールしようとすることは、親にとって心理的な負担になりやすいです。泣き止まない赤ちゃんを前に親が困惑し、思うようにコントロールできない状況に陥ることは珍しくないとされています。

泣き声が続く状況への対処に悩むことは、育児に関する強い不安や焦りを生み出す要因になり得ると考えられます。

言葉が介在しない意思疎通のすれ違い

言葉が話せない生後数ヶ月の時期は、親子の間でアプローチがしっくりいかないすれ違いが日常的に生じます。親が良かれと思って絵本を読んだりあやしたりしても、赤ちゃんのタイミングと一致せず泣き止まない場面が多く発生すると考えられます。

言葉が介在しないからこそ生じるすれ違いは、子育ての初期段階において多くの親が直面する難しさの一つです。

泣き止まない赤ちゃんへの向き合い方

読み聞かせの最中に赤ちゃんが激しく泣き出してしまった場合、無理に読み聞かせを続ける必要はありません。赤ちゃんの状態に寄り添う具体的なアプローチを解説します。

  • 一度読み聞かせを中断して抱っこする判断
  • 目線を合わせて微笑みかける対応
  • 呼吸を合わせて一体感を得る姿勢
  • 不快な感情を和らげる共感の言葉
  • 親自身の焦りを解消する休息の確保

一度読み聞かせを中断して抱っこする判断

赤ちゃんが激しく泣いているときは、読み聞かせを一時的に中断し、抱っこしながら歩くなどの身体接触を優先することが大切です。母親が赤ちゃんを抱いて歩くと、座っているときと比べて泣く量が約10分の1に、自発的な動きが約5分の1に減り、心拍数も歩き始めてから数秒程度で低下することが確認されています。

出典:赤ちゃんはなぜ泣きやむ?――「輸送反応」の脳内メカニズムを解明|理化学研究所

この反応は、子どもをおとなしくさせて親の育児を助ける本能的な仕組みの一つと捉えることができます。

目線を合わせて微笑みかける対応

泣いている赤ちゃんに対して、無理に声を出してあやすよりも、視線を合わせて優しく微笑みかけることが関係性を育みます。母子関係の早期において、相互に見つめ合って微笑む行動は、親子のつながりを深めるために重要とされています。

無言で見つめ合い、同調する行為が、赤ちゃんとの情緒的な絆を育む役割を果たすと考えられます。

呼吸を合わせて一体感を得る姿勢

抱っこの姿勢で親が深くゆったりと呼吸をすることで、赤ちゃんの生理状態を落ち着かせやすくなります。親子の抱く・抱かれる姿勢は、呼吸を合わせて声の響き合いを共有する関係に基づくとされています。

親が深く息を吸い、赤ちゃんの身体を優しくさすりながら穏やかな身構えを示すことで、興奮も鎮まりやすくなると考えられます。

不快な感情を和らげる共感の言葉

赤ちゃんのネガティブな感情を無理に否定せず、その気持ちを受け止めて言葉で代弁してあげることで、赤ちゃんの情緒が安定しやすくなります。前言語期にある赤ちゃんの不快な気持ちに親が調律的に応答し、優しく代弁するアプローチは、情緒や知的な発達に良い影響を与えると考えられています。

赤ちゃんが泣いているときにその気持ちに共感して語りかけることが、赤ちゃんの安心感につながります。

参考:文化的文脈からみた乳幼児期からの養育環境についての考察|東京大学

親自身の焦りを解消する休息の確保

赤ちゃんが泣き止まないときは、親自身が一人で抱え込まず、適度にその場を離れたり周囲を頼ったりして疲れを癒やすことが大切です。育児休業中の親など赤ちゃんと付きっきりの生活を送る養育者は、気分転換ができずに悩みを一人で抱え込み、精神的な負荷を強く感じることがあります。

親自身の心の健康を保つために、周囲のサポートや一時預かりなどのサービスを得ることが望ましいと考えられます。

出典:「2025年の日本の姿」|厚生労働省

泣き止まない時に適した絵本の選び方

泣いている赤ちゃんや、ぐずりやすい赤ちゃんの興味を優しく切り替えるためには、生後数ヶ月の発達特性に合った絵本を選ぶことがポイントです。効果的な絵本の特徴を整理します。

  • 視覚の発達に適した高コントラストの絵柄
  • 感覚を刺激する繰り返しのオノマトペ
  • 指先の感覚を刺激するしかけ付きの装丁
  • 読み手自身が楽しみを実感できる作品
  • 月齢に応じた絵本選定の基準

下の表は、泣き止まない時に試しやすい絵本の特徴を簡単に整理したものです。

絵本の特徴期待できる働き
高コントラストの絵柄ぼんやりとした視力でも捉えやすく、注意を引きやすい
オノマトペの繰り返し心地よい響きが興味を引きつけ、情緒を落ち着かせやすい
しかけ付きの装丁触ったりめくったりする動作が自発的な興味を引き出す

視覚の発達に適した高コントラストの絵柄

視力がまだ十分に発達していない生後数ヶ月の赤ちゃんには、白と黒などコントラストの強いはっきりとした絵柄の絵本が向いています。乳児期の赤ちゃんは、白と黒がはっきりした模様を好んで見る傾向があると言われます。

高コントラストで視覚的に捉えやすい絵本を選ぶことで、赤ちゃんの注意を自然と引きつけ、興味を切り替えるきっかけになりやすいと考えられます。

感覚を刺激する繰り返しのオノマトペ

意味を持たない効果音やオノマトペなどの心地よい響きは、赤ちゃんの興味を引きつけ、情緒を落ち着かせるきっかけになります。オノマトペの表現は、聞いてすぐに身体が反応しやすく、乳幼児が言葉と意味を瞬間的に理解しやすいという特徴があります。

ストーリーを理解させる必要はなく、オノマトペなどの心地よい音を届けるだけでも十分に興味を引けます。

参考:こどもの動きを引き出すオノマトペ絵本|愛知東邦大学

指先の感覚を刺激するしかけ付きの装丁

見るだけでなく、実際に触ったりページをめくったりできるしかけ絵本は、赤ちゃんの自発的な興味を引き出すきっかけになります。生後数ヶ月が経つと、赤ちゃんは手先を使って物を動かすことに面白さを感じ始めるようになるとされています。

ページを自分でめくったり指先で触ったりできるしかけ絵本は、赤ちゃんが主体的に関わるきっかけになり、興味を切り替える手助けになると考えられます。

読み手自身が楽しみを実感できる作品

何よりも、読み手である親自身が読んでいて楽しいと思えるお気に入りの絵本を選ぶことが大切です。絵本の読み聞かせを続けるコツは、親自身がその時間を楽しむことにあるとされています。

親がリラックスして絵本を開くことで、その穏やかな気分が赤ちゃんに伝わりやすくなると考えられます。

参考:本の読み聞かせが親子に与える効果とは|BSNキッズプロジェクト

月齢に応じた絵本選定の基準

赤ちゃんの月齢に合わせた適切な絵本を選ぶためには、各自治体などが提供するブックスタート事業で配布される推奨本を参考にすることが有効です。多くの自治体では、生後4ヶ月児健診などの機会に、赤ちゃんと保護者に向けて絵本やアドバイス集を配布するブックスタート事業を実施しています。

ここで選ばれる絵本は、赤ちゃんの月齢や発達段階に合わせて専門家が選定したものであり、初めての絵本選びの基準として参考になります。

絵本の読み聞かせが子どもに及ぼす好影響

泣き止まないからといって焦る必要はありません。日々少しずつでも絵本の読み聞かせを継続することは、赤ちゃんの脳や心の発達に幅広い好影響をもたらします。

  • 心地よいリラックス状態を誘発する効果
  • 5つの発達領域すべてを高める可能性
  • 自律神経の安定化を促す働き
  • 情緒を安定させるアタッチメントの形成
  • スマートフォンの操作時間を短縮する効果

心地よいリラックス状態を誘発する効果

絵本の読み聞かせは、赤ちゃんの脳を深くリラックスさせ、情緒を豊かに育む効果が期待できます。読み聞かせによって子どもの前頭前野の活動が適度に抑制され、心地よい感情が湧き上がってリラックスした状態が誘発されることが分かっています。

出典:本の読み聞かせが親子に与える効果とは|BSNキッズプロジェクト

感情や情緒をコントロールする大脳辺縁系が活性化されるため、情緒豊かな育ちにつながることが期待されます。

5つの発達領域すべてを高める可能性

絵本の読み聞かせ頻度が高い家庭の子どもは、幼児期における運動能力や社会性など、あらゆる発達指標が良好になる傾向があります。約3万6千組の母子データを解析した大規模調査によると、読み聞かせ頻度が高いほど、3歳時点での発達スコアが5つの発達領域すべてにおいて高いことが明らかになりました。

出典:絵本の読み聞かせが子どもの発達全般に好影響を与える|東北大学

コミュニケーションや運動、問題解決など幅広い力に関わる可能性がある点が特徴です。

自律神経の安定化を促す働き

定期的な読み聞かせの習慣は、赤ちゃんの情緒を穏やかにし、自律神経の働きを安定させるのにも役立ちます。本の読み聞かせは、言語能力や社会性の発達だけでなく、赤ちゃんの不安や心理的なトラブルを軽減し、自律神経の安定化にも寄与すると考えられています。

毎日のぐずりや寝かしつけに悩む中でも、読み聞かせが赤ちゃんの自律神経を整える穏やかなケアになると理解しておくと安心です。

参考:本の読み聞かせが親子に与える効果とは|BSNキッズプロジェクト

情緒を安定させるアタッチメントの形成

読み聞かせを通じて、赤ちゃんは親を安全基地として認識し、生涯にわたる情緒の安定や基本的信頼感を獲得しやすくなります。乳幼児期に養育者との間で良好なコミュニケーションが築かれることで、子どもは世界に対する基本的信頼感を得ていくと考えられます。

この信頼関係は、その後の認知や他者との関わり方にも良い影響を及ぼすと考えられています。

参考:文化的文脈からみた乳幼児期からの養育環境についての考察|東京大学

スマートフォンの操作時間を短縮する効果

読み聞かせの時間を意識して設けることは、親子双方のデジタル機器への依存を防ぐ生活習慣づくりにつながります。絵本の読み聞かせ頻度が高い家庭では、子どものスクリーンタイムや、親が子どもの近くでスマートフォンを操作する時間が短い傾向が確認されています。

出典:絵本の読み聞かせが子どもの発達全般に好影響を与える|東北大学

絵本の時間を生活に組み込むことで、デジタル機器との付き合い方も自然と整いやすくなります。

読み聞かせによる育児ストレスの解消法

絵本の読み聞かせは、赤ちゃんの発達だけでなく、日々育児に追われる親自身の精神的なストレスを和らげるためにも役立ちます。

  • 指示に従わない行動に対するストレス低減
  • 絵本を媒介とした双方向のやりとり
  • 一時預かりなど外部支援を利用する判断
  • 夫婦で家事分担を一般化する重要性
  • 各自治体が実施するブックスタートの機会

指示に従わない行動に対するストレス低減

絵本の読み聞かせ頻度が高い親ほど、子どもが言うことを聞かないといった行動に対して感じる育児ストレスが低い傾向にあります。読み聞かせを多く行っている親ほど、子育てに伴うストレスが低いことが分かっています。

絵本を介して赤ちゃんの気持ちが落ち着きやすくなることが、こうした傾向に関係していると考えられます。

絵本を媒介とした双方向のやりとり

親が一方的に読むだけでなく、赤ちゃんに語りかける双方向のやりとりを取り入れることで、親子のコミュニケーションが改善しやすくなります。問いかけたり赤ちゃんの反応を受け止めたりする対話を交えることで、絵本の時間がより豊かなものになるとされています。

寝る前の短い時間でも、この共有の喜びを分かち合うことが親子にとって大切な時間になります。

一時預かりなど外部支援を利用する判断

育児不安を抱え込みすぎないために、一時預かりや在宅保育などの多様な外部保育サービスを上手に活用することがすすめられます。育児休業中の親であっても、リフレッシュや外出の際にこうしたサービスを気軽に利用できる環境が整えられつつあります。

公的サービスや地域の支援に頼ることで、育児不安を和らげやすくなると考えられます。

参考:「2025年の日本の姿」|厚生労働省

夫婦で家事分担を一般化する重要性

夫婦の間で家事や育児の役割分担を明確にし、お互いに助け合える体制を作ることが、親自身の精神的な負担を大きく減らします。これからの社会では、夫婦による家事・育児の分担が一般化していくと見込まれています。

育児期間中に負担を偏らせず協力し合う環境を作ることは、親の精神的な余裕と子どもの情緒安定の両方につながると考えられます。

参考:「2025年の日本の姿」|厚生労働省

各自治体が実施するブックスタートの機会

自治体や保健センターが実施するブックスタートは、専門家に相談したり同じ悩みを持つ親同士で交流したりできる機会でもあります。多くの市区町村では、4ヶ月児健診の場などでブックスタート事業を実施し、ボランティアによる絵本の読み聞かせや配布を行っています。

親子の心のつながりを深めると同時に、地域で孤立せずに子育ての悩みを相談できるネットワークを得られる点が特徴です。

まとめ

絵本の読み聞かせで赤ちゃんが泣き止まない背景には、視覚や感覚の発達過程、前言語期特有のすれ違いがあり、抱っこや呼吸を合わせる関わり、月齢に合った絵本選びで穏やかに向き合うことができます。焦らず一つずつ試しながら、外部のサポートも上手に頼りつつ、親子でゆったりとした読み聞かせの時間を育んでいきましょう。